GMがロボタクシーに100億ドルを費やした後、クルーズ事業から撤退した理由(海外)
ゼネラルモーターズは、クルーズによるロボタクシーの夢のプラグを抜いた。 2023年に歩行者が重症となる事故が起きてから、自動運転事業は不確かになっていた。 【全画像をみる】GMがロボタクシーに100億ドルを費やした後、クルーズ事業から撤退した理由 同社の決断は、ロボタクシーに関して資金と時間が十分ではない可能性があることを示唆している。 ゼネラルモーターズ(General Motors:GM)によるクルーズ(Cruise)事業を断念する決断は、ロボタクシー事業を構築することは困難であり、多額の資金が必要で、多大なリスクがあることを示している。 ゼネラルモーターズは2016年に自動運転車のスタートアップであるクルーズを傘下にして以来、同社に100億ドル以上を投じてきた。 クルーズは、グーグル(Google)の傘下であるウェイモ(Waymo)とともに、ドライバーレスのシボレー・ボルトのロボタクシーを公道にもたらすために迅速な動きを見せていた。 両社は2023年8月、サンフランシスコでロボタクシーの配車サービスの運営について規制当局から許可を得た。しかし、そのわずか1カ月後、クルーズの自動運転車が歩行者に重症を負わせ、カリフォルニア州での営業を禁止された。 この事故で、クルーズはロボタクシーの全車をリコールすることとなった。カルフォルニア州司法省による調査で、クルーズは事故に関する重要な詳細を規制当局に報告していなかったことがわかった。 競合のウェイモが先を行く中、同社は回復に苦戦した。カイル・フォークト(Kyle Vogt)CEOは2023年11月に辞職し、その1カ月後には従業員の約4分の1を解雇した。 クルーズは2024年初め、自動運転車の試験を再開し、8月にはウーバーのアプリでロボタクシーのサービスを提供するため、ウーバーとの提携を発表したが、GMが事業からの撤退を撤回するには不十分だった。 メアリー・バーラ(Mary Barra)CEOは「ますます競争が激化する市場でロボタクシー事業を拡大するためには、かなりの時間と費用が必要だ」とアナリストとの電話会議で語った。 イギリスのヨーク大学でソフトエンジニアリングの教授を務めるジョン・マクダーミッド(John McDermid)は、「ロボタクシー事業がいかに挑戦的で、利益を上げることが難しいかを認識したのだと思う。技術的な問題を解決できたとしても、難しい状況だ」と話した。 イギリスのサリー大学で安全なAIと自律性の教授で、Connected Autonomous Vehicle Research Labの所長を務めるセイバー・ファラー(Saber Fallah)は、クルーズはサンフランシスコでの自動運転を大規模化するまで早く動きすぎたと、Business Insiderに語った。 クルーズなどのロボタクシーの基盤となるAI技術と無人運転車の認証プロセスは、都市環境でよくみられる複雑なシーンに対応できるほど開発されていないという。