離婚の際、「夫の年金」を分割してもらえると聞き「熟年離婚」したいと思っています。何かデメリットや複雑な手続きはありますか?
年金分割の留意点
年金分割の主な留意点について確認しておきましょう。 1.分割の対象は厚生年金の報酬額(標準報酬)に限られる 老齢基礎年金、厚生年金基金の上乗せ部分、確定給付企業年金等は対象となりません。例えば、夫婦ともに自営業などで国民年金にしか加入していない場合は分割できません。 2.分割でもらった年金の期間は年金の受給資格期間(10年)に含めることができない 自分自身が年金の受給資格期間を満たしていないと年金を受け取れません。 3.年金をもらえるのは年金支給開始の年齢(原則65歳)がきたときから 年金分割が成立してもすぐに年金が受け取れるわけではありません。 4.年金分割は妻に有利とは限らない 共働きで夫より妻の厚生年金のほうが多い場合、妻の年金の一部を夫に分割することになります。
まとめ
年金分割できるのは厚生年金のみが対象ですし、婚姻期間の最大2分の1です。しかも実際に年金がもらえるのは原則65歳からです。 離婚しないでいれば、夫婦合算の年金で暮らせますし、遺族厚生年金も受給できる可能性がありますので、金銭的なことだけ考えれば離婚は不利です。しかし、さまざまな事情があるでしょうから、より良い選択ができるよう、制度の仕組みを理解しておくといいでしょう。 出典 日本年金機構 離婚時の年金分割 執筆者:新美昌也 ファイナンシャル・プランナー。
ファイナンシャルフィールド編集部