“見た目があまりに端正な俳優”、朝ドラからアカデミー受賞映画まで「中身とのギャップ」で輝くワケ
「物流が止まると大変」という監督の発想から
『MIU404』で道路網が東京の各地(ひいては日本中)を繋いでいることを可視化させていたが、『ラストマイル』では物流網が人間の身体のなかに流れる血管のようだ。 「物流が止まると大変」という発想からこの企画を提案したのは塚原監督で、野木亜紀子が出演者というピースの多い難易度高いジクソーパズルのような脚本を書き上げた。労作である。 2本のドラマを見ていなくても楽しめないわけでは決してない。中心は、新たに設定された巨大物流会社DAILY FAST(通称:デリファス)とそこで働く人たちだからである。 おまたせしました、満島ひかりは、デリファス巨大物流倉庫の関東センターのセンター長・舟渡エレナ役で、岡田将生はチームマネージャーの梨本孔役を演じている。 エレナはエルメスのバーキンを持つおしゃれでバリバリの働き者、梨本は転職入社の2年めで、仕事は粛々(しゅくしゅく)とこなすがエレナと比べるとテンションは高くない。
荷物の爆発が連続し、日本中が震撼
いまや誰もが当たり前のようにネットのショッピングサイトを利用している。むしろなくては成り立たない。その世界的大手・デリファスから発送された荷物が爆発した。クリスマスを前に商戦が盛んとなる11月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜のことだった。 爆発はひとつではなく、連続して起こる。いつどこで荷物が爆発するか、日本中が震撼する。じつにこわい。 ブラックフライデーに合わせてフル稼働していたデリファス巨大物流倉庫の関東センターでは、エレナと梨本は共に事態の収拾に立ち向かう。 ほか、サイト商品の運搬を担う運送会社・羊急便の関東局局長(阿部サダヲ)や現場で働く羊急便の委託ドライバーたち(火野正平、宇野祥平)、デリファス日本支社の統括本部長(ディーン・フジオカ)や荷物を待つ家のシングルマザー(安藤玉恵)と子どもたちなどが事件に翻弄されていく。 そこに、先述した『アンナチュラル』と『MIU404』チームが交差する。さらに公開日まで伏せられていたサプライズ出演者もいて……(ここでは一応伏せておく)。