花や葉の色に合わせて鉢を選ぶ 陶芸家がつくるヤマアジサイの庭と器
千葉県香取市の、田んぼと畑が続く、のどかな田園地帯の一角。幹線道路から1本入ると、ひときわ緑濃い空間が広がります。陶芸家、小野満俊彦さんと恭子さんのお住まいとアトリエ、そしてお庭。6月。また今年も、待ちに待ったヤマアジサイの季節がやってきました。『趣味の園芸』6月号より、一部抜粋してお届けします。 みんなのヤマアジサイの写真
花や葉の色に合わせて鉢を選ぶ
小野満さんのお庭の個性をつくっているのが、自らの陶芸作品の数々です。一つ一つ表情豊かな鉢をまとったヤマアジサイは造形美がより引き立ち、さらに輝きが増したよう。 「食器なら、これはお豆腐を入れたらいいかな、おいしいちらし寿司はどんな器に盛ろう...と考えるでしょう。鉢づくりもそれと同じ。一株一株、いかにヤマアジサイがステキに見えるお洋服にしてあげようか、と考えてつくります。ふだんの作品はきちんと装飾したものをつくるので、鉢づくりは趣味。だから、すごく楽しいんです」と恭子さん。
私たちが鉢を選ぶときのアドバイスをお聞きすると、 「花の色、葉っぱや株姿などのボリュームと鉢の相性を考えるといいと思います。あと、優しい感じの花には、鉢も丸みを帯びた優しげな感じ。黒っぽい葉っぱとか、ちょっとオシャレなものには、三角形とか、ちょっと変わった形。質感や肌合いが変わったものも、いいですね。釉薬はかけず、焼き締めみたいなものがヤマアジサイには合うと思う。通気性もいいですしね」と教えてくれました。
花の終わりごろは切り花にして花瓶に
「自然のバランスがすばらしいから、本当は剪定はしたくない。でも、剪定しないと翌年の花つきが悪くなるので、しかたなく切った花は花瓶に生けて、最後まで楽しみます」 花瓶は夭逝した仲間・町村勝巳さんの作品で、「花を入れるとさらにかっこよくなる」と大切に愛用。
お話を伺った人/小野満恭子(おのみつ・きょうこ) 陶芸家 東京芸術大学を卒業後、陶板などを主に陶芸作家として創作活動を行う。同じ陶芸家である夫の俊彦さん、息子の全登さんとともに「創作活動がもたらす感動の世界を体験してほしい」と千葉県香取市、成田市で陶芸教室「間」を主宰。 ※2024年6月1日(土)~9日(日)まで、小野満さんのアトリエ「間」では、ヤマアジサイと器の展覧会を開催予定。6月1日には、川原田邦彦先生の講演会も予定されています。 ●『趣味の園芸』2024年6月号 陶芸家がつくる ヤマアジサイの庭と器「優しい雰囲気の花は、優しげな鉢に」より