【WHOも警鐘】感染症「麻疹(はしか)」の驚異的な大流行 ワクチン接種率低下が要因か
麻疹の流行が広がっていることへの受け止めは?
編集部: 麻疹の流行が国際的に広がっていることについて受け止めを教えてください。 甲斐沼先生: 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって麻疹やポリオなどのワクチン接種率が低迷したことにより、これらの感染症の世界的な流行が始まっています。日本国内においても、茨城県や東京都において海外からの輸入症例を契機とした国内感染事例が報告されています。麻疹ウイルスは感染力がきわめて強く、麻疹の免疫がない集団に1人の発症者がいたとすると、12~14人が感染すると言われています。ちなみに、インフルエンザウイルスの場合は1~2人です。今後、更なる輸入症例や国内における感染事例が増加する可能性がありますので注意しましょう。麻疹はワクチンにより予防できる病気ですので、麻疹の罹患歴やワクチン接種歴が明らかでない場合は、ワクチン接種を検討してください。海外では、麻疹が流行している国が多くありますので、海外へでかける際は事前に厚生労働省の検疫所や外務省の海外感染症情報を確認しましょう。渡航先の感染症情報を確認して、必要に応じて出国前に必要なワクチンを受けてください。
編集部まとめ
WHOやCDCは、麻疹患者数が世界各国で急増している状態について相次いで警鐘を鳴らしたことが明らかになりました。WHOによれば、麻疹による死亡リスクが最も高い低所得国のワクチン接種率は66%と最も低くなっていることから、こうした国への支援体制拡充が求められています。麻疹はワクチン接種によって予防できる感染症ですので、過去のワクチン接種歴を確認して、未接種の場合はぜひ前向きにワクチン接種を検討してください。
【この記事の監修医師】
甲斐沼 孟 先生(TOTO関西支社健康管理室産業医) 平成19年(2007年) 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科 卒業 平成21年(2009年) 大阪急性期総合医療センター 外科後期臨床研修医 平成22年(2010年) 大阪労災病院 心臓血管外科後期臨床研修医 平成24年(2012年) 国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科医員 平成25年(2013年) 大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科非常勤医師 平成26年(2014年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医員 令和3年(2021年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長 令和5年(2023年) TOTO関西支社健康管理室産業医。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など多数。日本外科学会専門医 日本病院総合診療医学会認定医など。