「エビチリ」落書きは“犯罪”か、“アート”か… 器物損壊罪なら「3年以下の懲役」
3月17日、太くて丸い字体のカタカナで「エビチリ」と壁に書かれた落書きの写真が、X(旧Twitter)に「このタイプの落書きでエビチリって書いてあることあるんだ…」とのコメントとともに投稿された。 【写真】区役所と警察も「落書きは犯罪」と警告している その後、全国の日本各地のユーザーから「エビチリ」と書かれた落書き写真の投稿が集まり、「エビチリ」落書きは全国に存在することが明らかになった。 「エビチリ」という字面はユーモラスであるが、落書きであることには変わりない。法的な問題はないのだろうか。
渋谷や下北沢では落書き被害が急増
4月10日、フジテレビの情報番組「めざましテレビ」は「エビチリ」落書き問題を特集。渋谷駅周辺では29個も「エビチリ」落書きが見つかったという。 また、同番組では、深夜の下北沢駅周辺で男性が落書きを行っている現場も撮影した。テレビスタッフに声をかけられた男は、以下のように語った。 「自分は書きたい場所に書いているだけ。人の家だろうが、公共だろうが、国のなんちゃらだろうが。みんなそういうの思い思いに書いたりするのがアートなんで。それで成り立っている世界なんで。」 下北沢一番街商店街では月に4~5回、落書きの被害に遭っているという。 番組内では、下北沢商店連合会の大木弘人会長が「とにかくやめてください。汚れますので。自分の家でやってください」と訴えていた。 また、下北沢東会(商店街)の金子健太郎会長も「他人のものを傷つけるのと一緒ですからね。迷惑条例違反でもあるし、落書きは自分のところでやれと」と、憤りを明らかにしていた。
落書きは「犯罪」なのか、「アート」なのか
公共物に落書きする行為は、建造物損壊や器物損壊にあたる。 (建造物等損壊及び同致死傷) 第二百六十条:他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。 (器物損壊等) 第二百六十一条:前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。 しかし、「めざましテレビ」のスタッフに取材された男が語ったように、近年では「落書きではなくアートだ」と主張する人も多い。 壁や建物、電車など公共の場所にペンキやスプレーで描かれる落書きは「ストリート・アート」や「グラフィティ」と呼ばれることもある。 2月まで東京都の森アーツセンターギャラリーで展覧会が開催されていたキース・ヘリングの作品もストリート・アートだ。また、2023年10月、小池百合子東京都知事は「あのバンクシーの作品かもしれないカワイイねずみの絵が都内にありました! 」と、都内某所の落書きと一緒に自分の姿を写した写真をXに投稿した。 へリングやバンクシーの作品が美術館や都知事にも認められる「アート」だとすれば、犯罪であるただの「落書き」との違いはどこにあるのだろうか。 海外での生活経験もある杉山大介弁護士に聞いた。