西武から巨人への移籍が決まった若林楽人（撮影・金子真仁）

　巨人松原聖弥外野手（29）と西武若林楽人外野手（26）の交換トレードが24日、両球団から正式に発表された。 【写真】5月、サヨナラ本塁打を放ち、ガッツポーズしながら跳びはねる若林 　昨季、記憶の限りでは西武の選手が逆方向に本塁打を打ったのは、2本のみ。そのうちの1本が、京セラドーム大阪での若林のものだった。スリムで、プロ1年目に盗塁を重ね、速いと思われがちな足は「あんまり速い自覚ないんですよ、ほんとに」と真顔で話す。 　身体能力を生かして動物的なプレー、と思われがちだがいろいろ考えている。打者やカウントによって、左足を前に構えたり、右足を前に構えたり。「ボールに正面から入っちゃうクセがあるんですよ。なるべく半身で打球の出方を、見られるように去年から始めました」と明かす。 　「楽人（がくと）」の名は僧侶の父が付けたもの。近年は「ウポポイ」で有名になった北海道・白老町の実家が寺…と思われがちながら「何かの記事が出て、実家が寺ってよく間違えられるんですよ。親戚が寺をやっていて、そこで父が働いているんです」が真相だそうだ。 　なぜか各方面で誤解されやすいが、まっすぐで前向きな性格だ。記者が昨年、札幌駅からエスコンフィールドまでの約20キロを歩いた。「何考えてんすか？」と半ばあきれた表情の選手、関係者も多かった中、若林は「だいぶ距離ないですか？　でも自転車とかで走ると気持ちいいかもしれないですね」と実にさわやかだった。何をするにしても白老を自転車で駆け回った少年時代。広い世界観の持ち主は、心も広い。 　細かいことは（きっと）気にしない。昨年2月の南郷キャンプでは「長袖」と書かれた半袖Tシャツを着て、一部ファンをざわつかせていた。「友達からもらったやつです。あの日、着る服なくて」。新天地でもおおらかに、朗らかに。【金子真仁】