日大明誠、主力DF欠いても関東へ
5月8日に行われた令和6年度関東高校サッカー大会山梨予選準決勝で、日大明誠が辛抱強い試合運びを貫き、県下随一の古豪・韮崎を破って4度目の関東大会出場を果たした。思いもかけなかった苦しい台所事情を乗り越え、決勝までの3試合を耐え忍んだ末の喜びだった。 【フォトギャラリー】韮崎 vs 日大明誠 今大会は初戦の3回戦が5月3日の笛吹戦だった。最終調整に入ったその1週間ほど前から、あろうことか守備の要人となる3人のCBが、次々とけがで戦線離脱してしまったのだ。 頭を抱える後藤聡志監督。「いやあ正直参ったな、という心境でした」と当時の胸の内を明かしたが、「セカンドチームの選手を起用し、人数を割いて守備的な戦い方でやるしかありませんでした」とやむなくチーム戦術を変更したことを説明する。 笛吹には3-0で勝ったが、問題は次の準々決勝だ。相手は4連覇を狙う難敵の山梨学院で、2月の新人大会準決勝は2-5と完敗し、4月20日の県ユースリーグ1部でも山梨学院のBチームに0-1で負けていた。 「この4月で監督に就いて7年目ですが、山梨学院にはトーナメント戦で全敗なんですよ。今年も既に2敗しているし、3回目は絶対に負けられなかった。選手もこの1戦に懸ける強い思いがありましたから」 5バックで後ろに重心を置くのは仕方ないが、やみくもに蹴り上げるだけの戦い方を封印し、つなぐ場面ではしっかりボールを通わせる戦法も忘れなかった。 山梨学院は現在首位のプリンスリーグ関東2部を戦うメンバーではなかったが、後藤監督は「粘り強く挑んでチャンスに点を取ってくれた」と振り返る。 山梨学院戦も、関東大会出場を決めた韮崎戦も3人のCBはレギュラーではない。中でも右ストッパー柳田旅人だけが、トップチーム在籍歴のない3年生だが、初戦から準決勝までタイトで忠実な守備をこなし3試合連続無失点に尽力している。 柳田は少し照れ臭そうな表情ながら、「トップチームの公式戦出場は初めてなので初戦は緊張したが、1つ勝つごとに自信がつき使ってもらっている責任感も身に付きました。球際の強さが武器です」とピッチに立った心境や自らの特長をしっかり解説した。 ドリブルで攻撃のリズムを生み、前線を活性化する背番号10のMF國延柊庵(3年)は、「激しいバトルでピンチを救う頼りになるCBですよ。柳田はみんなから遠藤航と呼ばれているんです」と日本代表の遠藤を引き合いに出し、1対1のボールの奪い合いに強いと評した。 CBにしては小柄な169センチだが、「山梨でも関東で優勝したい。レギュラーが戻ってきたら? もうポジションを譲るつもりはありません」とすっかり自信をつけた。