“ステイサムの第一人者”声優・山路和弘『ビーキーパー』音響監督が語る、貴重なハマり役の魅力
そんな山路が『ビーキーパー』で演じるステイサムは、決して多くを語らず黙々と蜂を育てる養蜂家クレイ。実は政府に関わる壮絶な過去を持つ男だが心根は優しく、それだけに、自分に優しく接してくれた恩人を食い物にした詐欺集団には容赦なく鉄槌を下す。
「例えば『MEG ザ・モンスター』のステイサムは、強烈なリーダーシップでみんなを引っ張るようなキャラクターでしたが、今回は行動に無駄がないすご腕工作員のような主人公。セリフの量も『MEG』とはぜんぜん違いますが、僕も山路さんもお互いの仕事をよくわかっているので、細かいやりとりはいらないですね」という高橋監督は、俳優・山路和弘の魅力をこう語る。
「山路さんって、“芝居をする”っていう感じではなく、本当にいい意味で自然体に感じられるんですよ。『ステイサムだからこうしなきゃ』という構えた感じがなくて、独特の自然さがある。もちろん、こちらも『今回は軍人なのでこういう感じで』とか、『コメディーだからこういう雰囲気で』といった説明はしますけど、基本的にはその時の山路さんのテンションに任せているところが大きいですね」 そのうえで「その山路和弘というキャラクター、声をいかにしてステイサムにはめ込むのかが僕らの仕事というか。なので、もし役と声が合ってないと感じられたらそれは僕らの責任ということ。特に映画館のスクリーンにかかる吹替版の場合、テレビと違って口と声のズレが目立ってしまうので、原音のテイストに近いものにしているんです。そういう意味でも、英語版と同じテイストで楽しめる吹替になっていると思うので、映画館で楽しんでほしいですね」(編集部・入倉功一)