石破首相、USスチール買収阻止命令問題で米国に説明求める構え「なぜ安全保障の懸念あるのか」
石破茂首相は6日の年頭記者会見で、バイデン米大統領が日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収の禁止命令を出したことへの日本政府としての対応を問われ「なぜ安全保障の懸念があるのかということについては、きちんと述べてもらわなければこれから先、話に相成りません」と指摘した。 バイデン氏の判断をめぐっては、USスチールのデビッド・ブリット最高経営責任者(CEO)が3日に発表したコメントで「恥ずべきで、腐敗している」「USスチールと社員の未来、国家の安全保障を損なうものだ」と批判し「経済、安全保障上で重要な同盟国である日本を侮蔑し、米国の競争力を危険にさらしている」などと強い調子で反論した。日本製鉄側も、判断は法令違反に当たるとして、米政府の提訴も辞さない構えであると報じられるなど、日米間の懸念事項となりつつある。 バイデン氏が安全保障上の懸案を理由に禁止命令を出したことへの受け止めや、20日に正式に就任するトランプ次期大統領に撤回を求めるかなどについて問われた石破首相は、「経済産業大臣もコメントしているが、日本の産業界から今後の日米間の投資について懸念の声が上がっているのは、残念ながら事実。このことは我々も重く受け止めざるを得ない」と述べた。 「個別の企業の件に関する案件について、日本政府としてコメントすることは不適切なのでコメントはいたしません」としながらも「このような(投資への)懸念があることを払拭(ふっしょく)することに向けた対応を、合衆国政府には強く求めたい」と訴えた。 その上で、「なぜ安全保障の懸念があるのかということについては、それはきちんと述べてもらわなければ、これから先、話に相成りません。いかに同盟国であろうとも、これから先の関係において、今申し上げた点は非常に重要でだと思う」と述べ、米国側に説明を求める考えを示した。