「自分のコンプレックスや悩みも長所に変換して表現できる」ブレイキンの先駆者・石川勝之が伝えるカルチャーの本質と日々を支える食習慣
■食生活について ――石川さんは40代になった今もブレイキンを踊られていますが、食生活はどうされていますか? 大会がある時は体重制限をしなければいけないですね。身長が174センチあってベスト体重は69~70キロですが、ちょっと気を抜くと太ってくるタイプ。少し前に小さな大会に出たんですけど、73キロ台の後半まで行ってしまって「やっぱりちょっと重いな」と感じました。キレも出ないし、動きが鈍くなる感覚もあるので、やっぱり体重は管理したほうが良いと思っています。 ――ベストコンディションを作るために食事はどうしていますか? 体重を調整するために20代の頃は炭水化物を抜くやり方でした。米を食べないとか、かなり極端なアプローチをしていました。でも、そのやり方だとパワーが出ないし、スタミナも持たない。栄養士さんから学ぶ機会もあって、炭水化物を摂らないと、ガソリンのなくなった車みたいに動かなくなるという話を聞いてから炭水化物を抜くことはやめました。いまは特にお米を中心に食べるようになりましたね。 もちろん取り過ぎないようには心がけています。野菜や果物はよく食べますし、タンパク質などもバランスよく摂っています。ただ、肉を食べる時は脂質をできるだけ避けるようにしていますね。あとはダンスを踊った後にアミノ酸をしっかり摂った方がリカバリーになるとか、食事をする前にだし汁を飲んでから食べ始めると吸収がよくなるといったことも教えてもらいました。 ――きのこは体のバランスを取るのに役立つ食材として知られていますが、石川さんは好きですか? 大好きな食材なので種類を問わずによく食べてますよ。特に食べるのはマイタケとマッシュルーム。海外に住んでいた時はマッシュルームが安く買えるんで、ほぼ毎日、バター焼きとか作って食べてましたよ。それ以外だとパスタに入れたりもしたかな。 きのこは食べた感覚が軽いというか、食べやすいっていう印象で、腸が悪いと体調も悪くなると思うので、腸内環境改善のためにも気を使って積極的に摂取しましたね。 ――石川さんは少年時代から食事に関しては意識されていたのですか? いや、全然です(笑)。全く気を使っていなかったですけど、今、思えば母親が栄養のバランスを考えながら食事を作ってくれていましたね。ジャンクフードを食べさせてもらえなかったし、ジュースも飲ませてくれなかった。いまになると僕の体のことを考えて厳しくしていたんだなと痛感させられます。そういう経験があるから、子供たちに「しっかりバランスのいい食事を心がけて」と話しているんです。 ――石川さんが40代になってもキレのあるダンスを踊っている姿を示していれば、説得力が違いますよね。 それはありますね。我々の業界って、コーチや審査員もそうなんですけど、踊れなくなるとリスペクトされなくなる傾向が強いんです。だからこそ、いかにして体を維持するかというのを自然に考えます。まずは食事が一番重要。そこに気を付けないといけないと強く思います。