“地雷系の最終兵器”ならく様のアイドル哲学「よく言われるのは、リストカットの跡あるんでしょ?」
移り変わりの激しいアイドルシーンに新たなカリスマが誕生しつつある。“地雷系の最終兵器”とも呼ばれる「ならく様」は、シュレーディンガーの犬(シュレ犬)の人気メンバー。共演した他グループのメンバーにも信奉者は多く、SNSのフォロワー数もうなぎ登りとなっている。独自のファッション美学、意表をつく言動、切れ味鋭いダンス……底知れぬ魅力に肉薄した。 【写真】華奢な身体、リップピアス&タトゥー、ならく様 撮りおろしカット【6点】 「よく言われるのは、“リストカットの跡あるんでしょ? 手首見せてよ”というパターン。失礼しちゃいますよね」 インタビュー場所に現れたならく様は、そう語ると屈託なく笑った。 凛とした美しい顔立ち。折れそうなほどに華奢な身体。リップピアスと刻まれたタトゥー。病み系メイクに地雷系ファッション……傍目からはトー横キッズのように見えるかもしれない。だが、実際は仲間に対する熱い想いを抱えた女傑。ベースにあるのは根性論だ。背筋をビシッと伸ばしながら前を向いて話す様子は、たしかに世代を超えたクールネスが感じられる。 「“様”の由来ですか? これは自分で名乗り出したんじゃなくて、ダンスの先生が呼び始めたんですよ。しゃべり方とか雰囲気が偉そうに映ったのかな。実際、初対面の人からは怖がられることが多いですし。自分的には不本意なんですけど(笑)。 “ならく”という名前は自分で考えました。グループ結成のとき、ひらがなでインパクトのある名前で全員いこうという話になったんですね。自分は中二病なので、悪魔っぽくて癖のある名前をいくつも出したんですけど、ほとんどすべて却下。その中では“ならく”というのがマシだろうということで決まったんです」 現在、所属グループ「シュレーディンガーの犬」は6人で構成されているが、ならく様は唯一のオリジナルメンバー。そのこともあって、他のメンバーから圧倒的に慕われている。イベント終了後、「ラーメンでも食べに行こうか」と周囲に声をかけ、手際よくスマホで店を検索するキャプテンシーは“男前”というほかはない。 「正直、愛想はよくないほうかもしれません。アイドルっぽくキャピキャピできるタイプでもないですしね。ただ、挨拶だけは絶対きちんとしようと決めているんですよ。それは仕事をするうえでの基本じゃないですか。体育会系の厳しい部活に入っていた時期があるので、そのへんはしっかり叩き込まれたんです」 メンタルの強さには自信がある。「どんなことがあっても、へこたれない」というのを自身のポリシーにしているという。 「たとえばグループ全体で“しんどいな……”って落ち込むことがあるとするじゃないですか。そういうときは“もう頑張れない”とかネガティブな言葉は禁句。むしろ“よし、頑張る!”って口にして、無理矢理にでも自分を奮い立たせるんです。頑張るって最初から自分で決めちゃう。要は一種の思い込みですよね。こんな調子でいつも周りを励ましているから、メンバーからは“心にならく様を飼うようにするね”とか言われています(笑)。やっぱりみんなの前ではカッコいい自分でいたんですよ。“様”もついている以上、やりきらなきゃという気持ちがあって」 メンヘラ系のビジュアルながら、口から飛び出すのはポジティブな言葉ばかり。では逆に、その独特のファッションセンスはどこから来るものなのか? 「“アイドルなのにタトゥーってどうなの?”みたいな価値観の人も日本だといると思うんです。それは自分たちがロック系のグループだからこそ許されている部分もあるかもだけど、いろんな意味でアイドルの可能性を広げていきたいんですよね。“こういう子もいるんだよ”というところをアピールしていきたくて。 ファッション的に一番ハマっているのはパンク系。あとはグランジ系。どっちみちロックっぽい服ってことになりますかね。パンクって基本的に露出が多いんですよ。もう絶対的なミニスカートか、超ミニの短パンみたいなものが多くて。Instagramを更新するときは、とにかくもう可愛い服をひたすら着て撮るって感じです」