ファッションで地方創生、副資材卸の増見哲が淡路島でイベント
上田安子服飾専門学校と神戸ファッション専門学校生によるファッションショーは、施設内の廊下をランウェイに見立てて行われた。メインイベントのアワコレには、兵庫県南あわじ市で活動するあまづつみ・まなみさんによる藍染めブランド「萌蘖」(ほうげつ)と、アップサイクルがテーマの「ii」(イイ)、淡路島出身のデザイナー、市吉泰晴さんのラグジュアリーブランド「タイセイ・イチヨシ」などが出品。ランウェイの両側にズラリ並んだ観客たちは、スマホで撮影したり、間近で洋服に見入ったり、モデルたちにも熱い視線を送っていた。
「萌蘖」は、あまづつみさんが生まれ育った淡路島の海の色を藍染を通して表現したコレクションを発表。素材には主に麻や綿を用い、日常着や作業着、街着など様々な場面で使える服を披露した。デビューコレクションを果たした「タイセイ・イチヨシ」は、淡路島をテーマに制作した作品がイタリアミラノのファッショングラデュエイト2023で高評価を得た。今回、その作品を含めた33体を披露。カルトをテーマに自分自身や布への熱狂を大切にしたコレクションを見せた。市吉さんは、マロニエファッションデザイン専門学校クリエイション学科オートクチュールデザインコースを卒業。淡路島に戻ってデザイン活動を続ける理由について、「今の時代、東京でなくても世界のどこででも製作できるし、有名になれる。自分が好きな自然が近くにある環境で製作したほうが快適だし、いいものができると思うから」(市吉さん)。“淡路島から世界へ”を掲げ、今後も「メイドイン淡路の魅力を発信していく第一人者になりたい」と話す。
廃校を利用した複合施設「エイト」は増見哲のエイト事業部が運営する。館内では、サスティナブルをテーマに、ギャラリーやショップ、シルクプリントファクトリー、ミシンや刺繍機などを備えた工房、カフェを展開する。同社が手掛けるオリジナルの割烹着ブランド「kapoc」も販売する。
昨年のオープン以降、島内外で話題を集結果、徐々に知名度が高まり、収益面よりも人材確保で成果が出てきている。「副資材メーカーだけだと入社希望募者が少なかったが、来年からは京都芸大や武蔵野美術大出身者も入ってくる。得意先や仕入れ先からも注目されるようになった。ここを拠点にアパレルの活動の幅を広げていきたい」と、増見社長は意欲を燃やしている。