新庄監督続投と「素材型のドラフト」に振りきった球団の狙い【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#235】
実力差を思い知ったCSファイナル
ファイターズは伸び盛りのワカゾーがようやく結果を出し始めたタイミングだ。ホークスは違う。伸び盛りのワカゾーもいる。球界を代表する実力者もいる。得点経過が象徴的だった。ファイターズはゲッツー崩れの間に1点もぎとったりしていた。ホークスはホームランも連打も出て得点を重ねていった。正直、清宮幸太郎や万波中正、野村佑希がホームラン王や首位打者、打点王の常連にならないと(つまり、ギータ、山川、近藤に伍して戦う日が来ないと)難しいのかなと思わされた。もっと強くならなきゃ超えられない。 だから、柴田獅子の指名権獲得は「よっしゃああ!」だった。負けたくない。ドラフト会議が終わってみれば、ホークスの育成指名の多さ(支配下6人、育成13人!)に圧倒されるわけだが、少なくとも1巡目の柴田はファイターズに入りそうだ。とても嬉しい。 嬉しいといえばこの日、ファイターズは正式に新庄監督の続投を発表した。まぁ、去就に注目が集まっていたわけだが、新庄さんの後の監督さんは(誰であっても)やりにくいと思う。これだけ話題性があって、チームを活気づけられる監督さんはなかなかいない。選手からも絶大な支持を得ており、正直、次の監督さんはワリを食うんじゃないか。つまり、現実的には新庄さん続投しかあり得なかった。ドラフトの囲み会見では2位が「まぐれではなかったと証明」したいと意気軒高なところを見せた。 ただわかってなきゃいけないことは今年のドラフトの上積みは来シーズンに関してはゼロだということだ。何しろ数年先を見据えた素材型の補強なのだ。もしかすると山縣がショートのお試しで使われるかもしれないが、大型投手のほとんどは鎌ケ谷で腕を磨く日々だろう。 今だって2軍には細野晴希、達孝太、孫易磊がいる。1軍では福島蓮、柳川大晟が使われた。そこに「ハイタワーズ」「摩天楼ズ」が加わって、5年後はオリックスのお株を奪うパワーピッチャー軍団が形成されるのだと思う。もうめちゃくちゃ楽しみだ。 が、今年のドラフトは即戦力補強がなかったのだ。球団は新庄監督に「現有戦力で力を証明してみろ」と言ってるようなもんだ。なかなかシビアだ。CSファイナルの3連敗を考えたら現有戦力の底上げが必須だ。もしかしたらそれじゃ足りず、積極的なFA選手獲得やトレードが計られるかもしれない。「素材型のドラフト」に振った意味を考えなきゃいけない。新庄監督続投はそういう文脈じゃないかな。 えのきどいちろう