いまデザインの評価が高いトヨタ……は昔もスゴかった! デザインのプロが絶賛する「80点主義」時代のクルマ5台
今でもファン多し!
●まったく新しいジャンルを構築した都会派四駆 3台目は初代RAV4です。1989年の東京モーターショーで出品されたRAV-FOURを起源とし、都市型クロスオーバーという新ジャンルを引っ提げて1994年に登場しました。 イチバンの特徴は、バギーから発想したという豊かにウェーブしたベルトラインでしょう。フロントもこの柔らかさに準じた表情で、一切の威圧感を排除しました。また、大型の樹脂プロテクターとボディの組み合わせによるカジュアル感はエスティマにも通じるもので、太いビードは機能性の高さも感じさせます。 デザイナーは旧来の四駆らしさとの間に迷いを感じていたところ、若手の女性社員の支持がこれを助けたといいます。新しいジャンルを生み出すのは相応の勇気が必要ということでしょう。 ●グローバル視点の本格的コンパクトハッチ 4台目は初代のヴィッツを取り上げます。「ニュー・ベーシック・コンパクト」を掲げ、欧州Aセグメント市場をメインにグローバルカーを標榜して1999年に登場しました。 欧州スタジオのデザイナー、ソティリス・コヴォスによるスタイリングは、アスリートのクラウチングスタートから発想した強い前傾スタイルが特徴。張りのあるサイドボディを筆頭に、圧倒的な面一度が強いカタマリ感を生み出しました。 センターメーターの有機的なインテリアも極めて独創的で、日本と欧州でのイヤー・カー受賞も十分に納得です。 ●伝統を突き破った超合理的パッケージ 最後は、2000年に登場の9代目カローラです。「ニュー・センチュリー・バリュー」をコンセプトに、歴代にこだわらず、ゼロから出発したという意欲作です。 ヴィッツ同様、欧州スタジオが手掛けたボディは、前進させたビッグキャビンと短いリヤデッキによるワンモーション的なアプローチが特徴で、じつに強いカタマリ感をもちます。フロントは大きな面に沿った柔らかなランプが新鮮、一方でリヤはシャープなテールランプがキリッとした表情を。 80年代の端正なカローラも魅力的ですが、欧州的合理性をそのままカタチにしたような9代目は革新的とも言えるのです。 さて、今回は90年代を中心にグッドデザインのトヨタ車5台をピックアップしてみました。じつは冒頭に挙げたランクル250も海外スタジオの提案ですが、やはりデザインを行う上でグローバルな視点というのはひとつのポイントなのかもしれませんね。
すぎもと たかよし