「王貞治ベースボールミュージアム」 王会長が描いた栄光の足跡と”野球を広めていきたい”想いを具現化した体験型施設の歴史
今年の5月には髙橋純平コーチが自ら企画を持ち込み、10人ほどを集めて座学と実践を組み合わせてプログラムを展開するなど、コーチの思い入れも強いものになっている。 ミュージアムがつくられる頃から携わってきた道広氏は、89パークの様子を見て感じたことを話してくれた。 「初めてボールを握る子もたくさん来てくれています。王会長がよく仰っているのが、『野球を知らないお子様には野球を知ってもらいたい。野球が好きなお子様には、野球をもっと好きになってもらいたい』。その想いに応えられるよう、今後もより充実させていきたいです」。
王会長の功績を表す展示品とテクノロジーの融合
続いては、王会長の足跡をたどる展示コーナー「王貞治ヒストリーゾーン」へ。 道広氏は「決して中身は小さくはなっておらず、深みを持たせています」と語るように、面積の縮小の代わりに濃密さを出している。 ここには約300点ほど飾られており、現役時代に愛用した野球用具や監督時代の用具・プライベート品などを公開している。 選手や監督での成績を年表に沿って掲載し、他にも記録やパーソナルデータのグラフを大きなパネルで掲示することで、さらに迫力を生み出している。
加えて大きな特徴は最新テクノロジーが盛り込まれていることである。王会長が積み上げてきた数々の記録をその場で表示できるようになっている。 それが「OH DATA TABLE」。これは選手のオブジェをテーブルに置くことで、データを一覧で表示できる。 これには、一つのディスプレイ上で同時に何人でも操作ができるマルチタクションという技術が用いられている。王会長や長嶋茂雄氏、多くの名勝負を生み出してきた江夏豊投手や星野仙一投手らとの対戦成績も一目でチェックできる。 さらには小久保裕紀監督を始めとした”王チルドレン”、さらには柳田悠岐選手といった現役選手もあり、歴史を超えた比較が可能となっている。 道広氏は、テクノロジーの導入についてこのように話した。 「マルチタクションは、お子さまでも使いやすいということで導入しました。移転までの約2年間、有識者などを交えて何十回も議論を重ねましたね。その時にお互いに案を出し合って今の形になりました。 あともう一つのテクノロジーとしては、『デジタルコレクション』という画面に映ったものをタップして見れるものを導入しています。現物が今ここにないものでも、デジタル上で楽しむことができます」
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