「ハッカーの数はFBI捜査員の50倍」 自衛隊の機密情報も盗まれ… 中国によるサイバー攻撃の実態 「第2次世界大戦に負けたのと同じ状況」
ハッカーに侵入されたこと自体気付かない有様
この点について外務省幹部に問うと、 「いまになってこの情報を読売新聞に漏らしたのは、外務省を敵視していた安倍(晋三)政権時代の元政府高官だとみている」 と前置きした上で、 「当時、外務省は米国からの指摘を受けてシステムの点検を行った。その対策については、情報を日米政府で共有している」 問題は解決済みと言わんばかりだが、何より重大なのは防衛省・自衛隊も、外務省も、最も厳重に守られているはずの機密情報システムに中国政府系ハッカーの侵入を許した事実である。しかも、その事実を自分たちで覚知する能力がなかった点を忘れてはならない。 NSAからの通告がなかったら、彼らはいまもハッキングの被害に気付いていない可能性が高い。そんなお粗末極まりない体たらくで、本当に国家機密を守り通すことなどできるのか。
枢軸国の敗北を想起させる状況
この状況は、第2次大戦時の枢軸国の敗北を想起させる。当時、ドイツのナチス政権は世界で最も解読が難しいとされた暗号機「エニグマ」を駆使し、政権と軍幹部らのやり取りを、極めて秘匿性の高い通信網で行っていた。それでも英軍は、ほどなくエニグマ暗号を解読し、ドイツ軍の動きを把握していた。 例えば、連合国側はドイツ海軍の多数のUボートの位置を正確に把握していたし、ノルマンディー上陸作戦の際も、英軍はナチス側の詳細な動きを察知していた。その上で、ナチス側に偽情報を流して戦いを有利に進めたのである。 当時の日本では、外務省が使用していた「暗号機B型」(通称・パープル暗号)が米軍に解読されていた。それにより、米軍はミッドウェー海戦で大勝利を収め、その後、山本五十六連合艦隊司令長官の搭乗機を撃墜しおおせた。 現在、自衛隊や外務省、さらに宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの機密システムが攻略されている実態を鑑みると、先の大戦時と同じように、いまの日本はすでに中国に戦わずして敗れているといえるかもしれない。事態はそれほどまでに深刻だ。