【卓球】最後につかんだ栄冠。張本智和、アジア選手権・男子単で日本勢50年ぶりV!
そして迎えた大会のフィナーレ、張本と林詩棟の決勝。1ゲーム目、台からやや距離を取る林詩棟の威力あるバックドライブに押され、1-5、2-6とリードを許した張本。「バックハンドの打ち合いでは分が悪いか」と思われたが、張本は一歩も引かずにバック対バックで打ち合い、フォアに回されたボールを果敢に狙い打つ。 1ゲーム目、張本は8-8で追いつくと10-9とゲームポイントを握り、ここでガツンと切ったロングサービスを林詩棟のバックへ。林詩棟のストレートへのバックドライブを、飛びついてサイドを切るフォアカウンターを決め、高らかに吠える。 1ゲーム目を先取したことが精神的な余裕を生んだか、2ゲーム目以降はバック対バックでもうまくミドルへのコース変更を織り交ぜ、林詩棟を揺さぶった張本がチャンスを作って強打を決める。2ゲーム目、9-5から9-6となったところで早めのタイムアウトで取り、11-6で張本が連取。勝利に王手をかけた。 3ゲーム目は林詩棟の開き直ったような両ハンドドライブが次々に決まり、中盤で1-7と離されて4-11で落とした張本だが、4ゲーム目は体力と気力を振り絞り、林詩棟を仕留めにかかる。3-3からストレートへの快速バックハンドやサービスエースで7-3と突き放し、9-5。 ここで林詩棟の3球目回り込みパワードライブを、張本が鮮やかにストレートへブロック。この1本で勝負あった。最後もバック対バックで、林詩棟をねじ伏せるように得点した張本。「腕組み」パフォーマンスを見せた後、会場の大歓声を浴びるように両手を広げた。 男子団体5~6位決定戦の香港戦ではまさかの2失点を喫するなど、苦しみに苦しんだ今大会。勇気あるプレーで、最後の最後に大輪の花を咲かせた。 今回のアジア選手権で、日本が獲得したタイトルは女子団体、張本智和の男子シングルス、大藤沙月/横井咲桜の女子ダブルスの3つ。男子団体と混合ダブルス(林詩棟/蒯曼)で優勝した中国の2つを上回り、大会で最も多くのタイトルを獲得した。チャイナスマッシュからの転戦となった中国勢が万全の状態ではなかったとはいえ、日本も条件は同じ。日本にとって大きな収穫を得た大会となった。 この後の国際大会でも、重要な大会であるWTTチャンピオンズ・モンペリエ大会(10月22~27日)とフランクフルト大会(11月3~10日)が相次いで開催される。オリンピック後の十分な休養も取れないまま、日本選手にとってはハードな戦いが続く。