"ふるさとの味"手作り漬物が姿を消していく?販売の新たなルールが始まった
漬物作り廃業の農家
漬物は、全国の農家でも"副業"として、それぞれの土地の野菜を使って製造されてきた。「道の駅」や地元の直売所では人気商品である。大量生産されたものと違って、"ふるさとのお母さんの味"として親しまれてきた。そこに、今回やって来たのが国際的な衛生基準である。これまで通りに手作りの漬物を販売する「営業許可」を取るために、施設を整えなければならない。かといって、こうした手作りの漬物を製造しているのは、年配の人たちが多い。施設改良に莫大な費用をかけるよりは、これを機に漬物作りをやめてしまった人も数多くいる。それが現実なのだ。
食文化の伝承も大切
"ふるさとの味"自家製の漬物は、日本の郷土料理のひとつであり、食文化の象徴でもある。それがルールの変更によって姿を消していく。補助金を用意して、漬物作りを支援している自治体もあるが、その数は限られている。それぞれの家庭の中では「地元の野菜を使って、代々受け継がれてきた味の漬物を作る」という伝統は受け継がれるだろうが、その味を一般の多くの人が共有することはできなくなっていく。"食文化の伝承"という意味でも、それはとても残念なことである。 衛生上の管理はもちろん重要であるが、その一方で、日本の伝統の味を残していくことも大切なことであろう。衛生面と予算面、そのどちらをも満たす"味のある"妙策はないものだろうか。日本の手作り漬物たちが、じっとそれを待っている。 【東西南北論説風(496) by CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】
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