虎のソナタ 人の優しさと熱烈応援が印象的な台湾 虎番期待「チアリーダーもきっと東京に」
阪神は秋季キャンプを17日に終えて、本格的なオフに突入した。この日の関西地方は最高気温15度ほどで朝晩は特に冷えるようになってきたが、誰より〝寒さ〟に震えているのが虎番たちだ。 【写真をもっとみる】大音量でチアリーダーが舞い、4万人超の声援がドーム内に響き渡る 前日まで気温25度とポカポカの高知・安芸市で練習や紅白戦を見守り、首脳陣や選手たちを取材して原稿を書いてきた。だが、オフになってしまえば、イベントや契約更改以外のネタは自分で探し回るしかない。もう日が暮れそうなのに広げたノートは真っ白。何をどうやって会社に報告しようか…なんてお寒い日ばかりが続く。サブキャップの原田遼太郎もさっそく、冷たい風が吹き抜ける甲子園球場周辺で立ち尽くし、クシャミをしていた。ファンの方もタイガースの野球が恋しいだろうが、虎番も遠い球春を待ちわびている。 そんな中、一人だけ野球をまだまだ楽しめている虎番が、台湾で「プレミア12」を戦う日本代表を取材中の中屋友那だ。17日に1次リーグ突破を決めた「侍ジャパン」だが、阪神から参戦中の森下翔太、才木浩人が大活躍中だから中屋も連日大忙しで走り回っている。中屋はまだ入社2年目。同学年にあたる森下が日本代表に抜てきされたことによって、初の海外出張を勝ち取った。 「せっかくなので『台湾はどう?』といった、くだけた話もしたいんですが…。活躍していることで他の会社の方もドッと森下のところに集まってしまうんです。『おはよう』といったあいさつやマジメな取材しかできていない状況です」 悩ましげだったが、どことなく誇らしそうでもあった。阪神の選手が日本代表の中心で、世界一に向けてチームを引っ張っているだなんて、ほんの数年前には考えられないことだった。ちょうどタイミングよく2019年の前回大会で稲葉ジャパンを取材していた長友孝輔が一般スポーツデスク席に座っていたが「僕のときは阪神とロッテの選手は一人も選出されていなかったです。印象に残っているのは、台湾の人たちの優しさと熱烈な応援ですかね」と遠い目をして振り返っている。 日本代表も中屋も、21日から東京ドームで始まる2次リーグへ向けて19日に台湾を離れる。中屋の今回の思い出も長友とほとんど同じだった。