あの「ミキモト」イメージがガラリと変わったなぜ、業界も驚いた斬新なコラボが契機になった
もう1つの「変えてはいけないもの」は、業界のオピニオンリーダーであるというポジショニングだ。「看板があるという最大の強みが、そこで止まったり、安心してしまうことで、最大の弱みに変わってしまうと戒めています」。 だからこそ、世界で初めての挑戦について、ここには未来があるという確信を抱いて挑んでいく。フロンティアであり、イノベーターであるという精神を忘れてはならないという。 ■新たな発想を持つにはセンスを磨くことが肝要
一方、「変えていくこと」については、あくことなき挑戦への姿勢と言える。「ここ数年で、社員が挑戦を恐れなくなり、恐れず前に進むようになってきたのは嬉しい変化です」(中西さん)。 コラボレーションが1つの契機になって、社内の空気ががらりと変わってきた。このエネルギーを風土として根づかせていくことが大事と中西さんはとらえている。 「未来に向けた発想を持つには、個人としてのセンスや感度は欠かせない要素。若い人たちにも、新鮮な視点を持ってどんどん活躍していってほしいと考えています」と中西さん。「経営も勘や感は大事な要素のひとつですが、社員にもそこは強く意識してほしいと思っています」。
一連の話を聞いていて、日本が世界に誇れるラグジュアリーブランドの先には、明るい道が拓けていると感じた。
川島 蓉子 :ジャーナリスト