オゼンピックで「できちゃった」、不妊治療効果の可能性巡り議論噴出
ノボの減量薬「ウゴービ」、FDAが心疾患治療への適応拡大を承認
これまでのところ、安全性に関するデータは有望と言える。2型糖尿病の女性5万人の健康記録を調査した最近の研究では、妊娠の極めて初期段階でこうした薬を使用した女性では、インスリンを使用した女性に比べて先天異常の増加は見られなかった。
それでもこの研究の著者は、さらなる確認が必要だと注意を促す。特に糖尿病ではない女性においてそれは重要だという。コペンハーゲンの研究者らも、昨年発表したGLP-1受容体作動薬の調査報告で、「長期的な安全性に関する情報が限定的で、特に妊娠に関する情報は限られている」と指摘した。
懸念する理由のほとんどは動物実験の結果に基づいている。ノボが開発した薬剤の有効成分セマグルチドは、動物の先天性異常増加と関連している。リリーの薬品についても同様の研究が行われ、妊娠中の使用が「胎児にリスクを与える可能性」が示されたと同社は述べている。
こうした薬が妊娠に寄与するのかどうか、寄与するのならどのように作用するのか、正確には知られていない。減量がPCOS患者の生殖能力を高めることは知られており、旧型の肥満治療薬であるサクセンダも、肥満症のPCOS患者の妊娠率を高めることが研究で示されている。GLP-1受容体作動薬には生殖機能を促進するホルモンのような作用があり、経口避妊薬の効果を鈍らせるとも考えられている。男性の不妊にも関与しているのではないかと考える専門家もいる。
妊娠を計画している場合、どの時点で薬の使用を中止すべきかについては専門家の間でも意見が分かれている。妊娠の4週間までなら安全だと患者に伝える医師もいれば、妊娠するまで薬を使い続けても問題ないと言う医師もいる。ウーゴビの添付文書には、妊娠を試みる2カ月前までには使用を中止するべきだと書かれている。リリーは「ゼップバウンド」の添付文書で、妊娠した場合は使用を停止するよう勧告している。