『虎に翼』“美佐江さん”のその後が明らかに 桂場VS航一の尊属殺を巡る激しい押し問答も
思わず息を呑んだ。いよいよ最終週を迎える『虎に翼』(NHK総合)クライマックス前の第125話。そのエピソードの濃厚さとコントラストに。 【写真】美佐江(片岡凜)の手帳を開いて絶句する寅子(伊藤沙莉) 第125話は大きく分けて2つ。航一(岡田将生)が桂場(松山ケンイチ)に対して、美位子(石橋菜津美)の事件、つまりは尊属殺の重罰規定が違憲かどうかを今一度判断することを仰ぐ意見書を提出するシーン。そして、新潟で出会った森口美佐江(片岡凜)のその後が明かされる終盤の場面で分けられる。 尊属殺を扱うのは時期尚早だと航一の意見書を払いのける桂場。「なるほど。分かりました」と一度は分厚い資料を抱え去っていく航一だったが、「いや、やっぱり分かりません」と扉の前で踵を返し、桂場の机に資料を叩きつけるのだ。 桂場が主張する時期尚早には、「人は間違える。だから法がある。だから法について考える際に万全な時を選ぶ」という意味合いが含まれている。しかし、桂場から朋一(井上祐貴)を実質の左遷にされた今のタイミングで、しかも戦時中に総力戦研究所にいた航一への「机上の理想論」という言葉が、航一の怒りのボルテージを一気に上げていく。 「反発は来るかもしれない。でも、たとえどんな結果になろうとも判決文は残る! ただ何もせず人権蹂躙から目をそらすことの何が司法の独立ですか!」と長官である桂場に楯突く航一。眉間に皺を寄せ、ここまで声を荒げる岡田将生の芝居は『虎に翼』では初めてだ。対峙する桂場の動揺する表情がその珍しさを物語っているが、それは航一の鼻血にもあるようだ。 航一が気を失った報せを受けて、二度と来るなと言われていた長官室を訪ねる寅子(伊藤沙莉)。そこには桂場の膝枕で眠る航一の姿があった。正座で足が痺れた桂場を含め、先ほどの緊迫したシーンはどこへやら、ほっこりとするやり取りが続くが、その中で寅子は優しく、だけど真摯に朋一への仕打ちとそれに対する怒りを静かに滲ませながらも、「私が邪魔で面倒で距離を置きたくても、司法の独立のために共に最後まで戦い続けるしかないんですよ」と寅子はかつての若さを取り戻したかのような真っ直ぐな言葉を桂場に投げかけた。そこには「どの私も私。全部含めてずっと私なのか」という寅子の自問自答、人の恋愛感情には相変わらず鈍感な寅子の姿もある。その後、航一の意見書は正式に最高裁に受理され、15人の裁判官による大法廷が開かれることになった。