【アジア競馬会議】武豊が自身のルーツを語る ルメールと「ムチ使用」に関して熱論
27日に始まった「第40回アジア競馬会議(ARC) 札幌大会(主催:アジア競馬連盟)」。2日目の28日は、札幌コンベンションセンターにおけるビジネスプログラムのエキジビションセッション(騎手の声)として、武豊(55=栗東・フリー)とC・ルメール騎手(45=栗東・フリー)がスピーチを行った。 【写真】熱く語った武豊とルメール 武豊は「子供のころからすごく競馬が大好きで、ジョッキーになりたいと思っていて、海外の競馬も当時は情報が少なかったけど、レースの映像や雑誌を見るのが大好きでした。中学生の時に第1回のジャパンカップ(1981年=当時中学1年生)があっていろいろと衝撃を受けて、いつかジョッキーとして海外の競馬に行きたいと思うようになった」と自身と海外競馬の〝出会い〟を明かした。 そのうえで「初の海外遠征でシカゴのアーリントンパークにはじめて行った際(初騎乗は1989年)、見るのも触れるのも初めてで雑誌や絵本の中に飛び込んだ気持ちでした。今までで知っている競馬と全然違うことをやっている。当時は〝日本で競馬をやっているんだ〟とアメリカのホースマンに驚きを持たれた時代」とその後に国内外で金字塔を打ち立てるより以前の若き日を振り返った。 ルメールは「オリビエ・ペリエが90年代の後半に当時はスムーズなアメリカンスタイルの競馬を日本にもたらした。その後にライアン・ムーアが来て、今の若い世代の(日本の)ジョッキーはライアンのスタイルだと思う。トップジョッキーと一緒に乗ることはレースの仕方に大きな影響を与えます。昔の日本(のレース)はペースが速かったのが今はジョッキーが抑えるようになって遅くなった。そのほうが能力を発揮できる」とフランス出身で世界を体感してきたジョッキーならではの日本競馬の流れに言及した。 さらに、競馬福祉の観点でムチの使用回数の制限が進む時流について問われると「この話題にはテクニックの改善など敬意を表したい一方で、1回、2回とムチを多く使っただけで犯罪者のように言われてしまうのには少々不満も感じます。今、海外に行ってジョッキーの間で一番の関心は馬場や言語ではなくムチの使用について。(この国では)何回まで許されているとか、何回を超えると制裁だとか」と持論を展開。これには武豊も「ムチの使用にもいろいろな意味があって、もちろん速く走らせるためもそうですけど、真っ直ぐに走らせるとか安全のために使うこともある。これ以上使用回数を減らされていくことは恐らくほとんどのジョッキーが望んでいない」と賛同した。
東スポ競馬編集部