自宅周辺の道路、制限速度が30キロになる?歩行者の事故防止へ新たなルール
幹線道路より事故は多い
歩行者の急な飛び出しに車が自動的に反応してブレーキをかける装置など、最近は車の安全装備も充実している。それもあってか、交通事故の件数はこの10年間で半分以下に減った。しかし、5.5メートル未満の道路で事故が占める割合は横ばい。2023年では、死傷者が発生した交通事故の内、5.5メートル未満の道路は、それより幅が広い道路に比べて、事故の件数がおよそ1.8倍と、ほぼ2倍近い。大きな幹線道路よりも、狭い「生活道路」での事故が目立っているのだ。
歩行者事故が多いニッポン
海外と比べるとどうなのだろうか。警察庁が発表した、国際道路交通事故データベース(IRTAD)2024年1月時点の資料によると、海外の国と比べても、日本は歩行者の事故が多い。事故の30日以内に死亡した歩行者の割合、欧米各国は、英国22.7%、米国17.4%、イタリア15.4%、フランス14.9%となっている。しかし、日本はというと36.0%とかなり高い。それだけ日本は住宅地を中心に"歩いて行動する"人が多く、また、こうした道路には歩道がないため、事故に遭いやすくなっているという日本独特の事情がある。
30キロ制限が基本に?
警察庁によると、時速60キロで走っている車が急ブレーキを踏んだ時、停止するまでに、そのまま走ってしまう距離は35メートル。しかし、時速30キロだと、10メートルほどで車は停止できる。時速60キロと30キロでは大きな差があり、それが今回の規制のベースになっている。この規制については、新たに標識などは設置せず「生活道路は最高速度30キロ」というルールを"基本ベースとして"、ドライバーへ周知徹底していくという。「時速30キロが当たり前」ということになのだろう。なお、すでに30キロなどの規制がある道路は、現状の速度規制が継続される。 2024年も夏休みがスタート。「生活道路」の規制はまだ先のことだが、交通安全に努めることは、今日からでもできる。交通事故にくれぐれも注意して、この夏も過ごしてほしいという願いは不変である。 【東西南北論説風(508) by CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】
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