理想と現実のはざまで……代表選に見る立憲民主党の“成熟度”
「報道部畑中デスクの独り言」(第383回) ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は「立憲民主党代表選挙」について。
自民党総裁選が告示され、史上最多の候補が鎬を削る構図となりましたが、今回はそれに先立ち、火ぶたが切って落とされた立憲民主党の代表選挙について触れます。 候補となったのは野田佳彦氏、枝野幸男氏、泉健太氏、吉田晴美氏。旧民主党元代表、前代表、現代表、1回生議員の戦いとなります。吉田氏は告示日の9月7日に「滑り込み」での出馬となりました。 告示日当日、午前の記者会見に続き、午後には日本記者クラブ主催の討論会が開かれ、4人は自らの強みを表現しました。 「厳しい判断を積み重ねてきた経験がある。自分の後ろには最後に相談する人が誰もいない、重圧と孤独に耐えてきた。そういう経験値を活かしていきたい」(野田氏) 「危機に対応した経験、危機に強いと自負している。東日本大震災の官房長官、“希望の党騒動”どちらも大変な危機に対して対応できた」(枝野氏) 「最も厳しい党勢の中からの3年間を担った。政権交代前夜と言っていただけるまで この党をもってきた。そういう党をつくることができたことを誇りに思っている」(泉氏) 「リーダーに必要なことはすべての政策に精通することではない。決断力、人を見る目はあるのではないか」(吉田氏) 選挙戦で主な論点は「政治とカネ」。これまでの自民党の姿勢に対する批判を各候補繰り広げていますが、私はこの日の討論会を見て、別の感慨を持ちました。それは一部の政策について、現実路線の人と、理想論を掲げる人がこれまでに比べてはっきりしていたということです。 まずは消費税、物価高で国民の生活が厳しい中、税率の引き下げを求める声が少なくありませんが、4候補の主張には温度差がありました。 「国家財政を預かる立場を経験している。軽々に引き下げる話をそうですかと言える立場ではない。1回下げたら戻すのは大変。複数税率よりは、所得控除から給付付き税額控除につなげていく、消費税還付法案が到達点だと思う」(野田氏) 「消費税率を下げると、高所得者にも効果が及ぶ。所得のない人にターゲットを絞った戻し税が良い。早くインボイスをやめないと中小・零細事業者は困る。物価の状況を見れば、消費税を下げても焼け石の水。給付で低所得者をしっかりと支えるべき」(枝野氏) 「時限的な場合の難しさ。いつ発動していつ辞めるか、手間や負担も考えなければいけない。時限は相当難しく、恒久的に直間比率を党として政府と議論すべき」(泉氏) 「(消費税減税、食料品非課税)は時限的な立場。消費を喚起する3年間を考えている。食料品については収入が低い世帯には重い。税の公平性、勤労世帯、現役世帯の家計に響いてくる」(吉田氏)