世界最大の自動車専用船が登場。脅威的な輸送台数に
欧州の自動車船大手ワレニウス・ウィルヘルムセン(WW)は24日、世界最大となる約1万1700台積み自動車船4隻を建造すると発表した。2027年後半から引き渡しを受ける。発注済み9300台積みシリーズの一部の船型を大型化することで、工場から最終消費者に完成車が届けられるまでの物流全体のGHG(温室効果ガス)排出ネットゼロの低コスト化を図る。 WWは中国・招商局金陵船舶に「シェイパークラス」と呼ばれる次世代型の9300台積み自動車船12隻を発注済み。26年後半以降に引き渡しを受ける予定だ。新造船はメタノール2元燃料エンジンを搭載する。 WWは今回、同12隻のうち4隻について、船型を約1万1700台積みに大型化することを明らかにした。同社は顧客ニーズやトレードパターン、規模の経済などを勘案し、設計を見直した。 WWは27年から、顧客にエンド・ツー・エンドの統合型ネットゼロサービスを提供する計画だ。大型化したシェイパークラスは、海上輸送部分で重要な役割を果たすとしている。 9300台積みのシェイパークラスの概要は全長228メートル、幅38メートル、船尾ランプ強度320トン。車両などを積載する貨物デッキ数は12で、そのうち四つが背高・重量貨物にも対応し、高さが調整できるリフタブルデッキが二つある。積載能力を1万1700台積みに増やす方法は不明。 自動車船の船型を巡っては、世界有数の出荷拠点である日本の積み地に寄港できるように全長を200メートル未満に抑えた7000台積みが主流。デッキ数を増やし、9000台積みに輸送能力を高めた新造船もある。 一方で、韓国・現代自動車グループの物流会社である現代グロービスが、1万800台積みのLNG(液化天然ガス)2元燃料自動車船18隻の新造整備を決めるなどスケールメリットを追求する動きもある。
日本海事新聞社