羽田の航空機衝突事故、日航から「救援要請」を受けた中小企業とは リサイクル業社長が明かす航空機解体の裏話
▽解体後の窓や座席はホテルの客室に 高倉社長は「混乱を避けるために航空マニアの皆さんにも見つかってはいけなかった」と明かす。 しかし、「インターネットなどで(解体した機体である)トリプルセブン(ボーイング777)の登録が突然抹消されたといううわさが流れた。ヒヤヒヤしたよ」と苦笑する。 2機目の解体着手前の2022年11月に初めて解体の情報が公表され、豊富産業グループが請け負ったことが明らかになった。2機目は22年の年末に作業を終えた。 機体の電子機器やエンジンなどは日航が取り外し、中古部品として売却。取り除いた窓や座席は千葉県内のホテルに納品して「飛行機廃材を使った客室」として売り出した。 座席の生地やライフベストはポーチなどにして一般販売した。リサイクル率は96%に上り、残る4%は断熱材や炭素繊維と一体となった特殊なプラスチックなどだという。 ▽幻となった構想も
高倉社長は、こんな秘話も明かした。「(解体を)能登空港(石川県輪島市)でやるということで、実はずっと動いていた」。 運航便数が少ないことに加え、輪島市の能登空港キャンパスに高校と大学校を持つ日本航空学園があり、条件が整っていたためだ。 この構想は結局、実らなかった。断念したのは「いろいろと早過ぎた」とし、「県庁などの関係者には申し訳ないと思っている」と声を落とした。 解体は部品ごとの再利用がビジネスとして成り立つかどうかが重要で「きれいに取り除くだけではダメで売り先をきちんと確保しないといけない。大きなマーケットのあるアジアに拠点を置かないとビジネスが成り立たないことが分かってきた」と説明する。 一方で、航空機の解体ビジネスの手応えは実感している。展望について「アジアで航空機需要が広がって退役が増える10年後くらいに面白いビジネスになる」と見込む。 課題は実績づくりだ。「部品販売の資格を持つ企業の合併・買収(M&A)を選択肢に入れながらアメリカなどで実績を作りたい。フィリピンやインドネシアなどアジア圏に拠点を作ってやれたら面白い。今は5年後くらいに向けた準備はできている」