これからの季節こそ要注意!急増する「夏の勝手口専門泥棒」の防犯対策
旭化成ホームズに聞く「戸建て住宅の防犯対策」。今回は夏限定のやや特殊な侵入犯について解説したい。 【調査結果】近隣トラブルを経験した人の割合は?そのうち「身の危険を感じたことがある」人の割合は?調査結果をグラフで見る! さて、日本の戸建て住宅には「勝手口」というものがある。玄関ではなく、台所に直通する出入口だ。かつてはこの勝手口へ御用聞きが注文を取りにやって来る……という光景が日常のワンシーンとして繰り広げられていた。 アニメ『サザエさん』に出てくる「三河屋のサブちゃん」である。彼は磯野家にとっての客ではなく御用聞きだから(この違いを肌感覚で理解できる人は今や少数派だろう)、玄関ではなく勝手口に行くのだ。 そんな勝手口は、泥棒にとっては「理想の侵入ルート」だという。 今回も旭化成ホームズ株式会社 LONGLIFE総合研究所 主任研究員の山田恭司氏(一級建築士)、同社顧問の松本吉彦氏に詳しい話を伺った。
勝手口の網戸を破る手口
「勝手口は、やはり狙われやすい傾向にあります」 山田氏ははっきりとそう語る。ここで読者の皆様に、勝手口の形状とその位置をご想像いただきたい。殆どの場合、家屋の奥側にある細長いドアになっているはずだ。「泥棒は家屋の奥側・背面側へ向かいやすい」という前回までに解説したデータ結果を考慮すると、やはり勝手口は「理想的な侵入ルート」になってしまうのだ。 以下はヘーベルハウス独自の集計データである。上下窓が開いている状態で網戸のみ切られた侵入例が52件、同様の手口の未遂例が29件に対し、上下窓を破られる形の侵入例が47件、同手口の未遂例が9件となっている。 網戸というものは、カッターやハサミなど身近にある刃物を使えば簡単に破ることができる代物。虫の侵入阻止はともかく、人間の侵入阻止の役には立たない。 「やはりここは上下の窓を閉め、なおかつツーロックの施錠をすることが重要です」(山田氏)
「夏の勝手口専門」の泥棒がいる!
しかし、人間は時として防犯よりも今現在の快適さを優先してしまう動物である。 そして、この記事の執筆は5月28日。既に日中の気温は25度に差しかかり、日によっては30度に迫ることも。いよいよ暑くなる。そんな季節を乗り切るため、勝手口の窓を常時開けておく人もいる。 それに警鐘を鳴らすのは松本氏である。 「夏場、就寝時や外出時に勝手口の窓を開けている人は、結構います。そして、そこを専門に狙う泥棒がいるのです」(松本氏) 夏場の夜の勝手口専門の泥棒!?そんな奴らがいるのか! 「同じ分譲地内に複数件ある場合、それらの家が同じ頃合いに同じ手口の被害に遭うことがあります。カッターを使って、家々の勝手口の網戸を片っ端から切っていくというやり方です。そういう考え方の泥棒が、どうやらいるようで……」(松本氏) その上で昨今の省エネ志向を加味すると、2024年の夏は「勝手口から侵入する空き巣」が増えそうだと邪推するのは筆者だけだろうか。 泥棒が常に考える「合理的選択理論」に照らし合わせると、窓が開放されている勝手口のドアはまさに絶好条件。しかも、夜でなくとも日中に窓を開けたまま外出してしまう人も少なくないとか。 常に合理的に判断する泥棒に対して対策するポイントは、隣の家よりも万全な防犯対策をとることだ。具体的な方法を後半で紹介していく。 取材・文/澤田真一
@DIME編集部