中川翼、“向き合い方が変わった”俳優業への新たな決意 「自分にとっては今年が俳優1年目」
中川翼が感じた趣里のやさしさとジェシーの裏表のなさ
――趣里さんは事務所の先輩でもありますよね。お話しされたことはあったんですか? 中川:トップコートに入所して、今年で7年が経つんですけど、趣里さんとは唯一と言っていいほどお話ししたことがなかったんです。1回お会いしたことはあったんですけど、本当にすれ違いざまという感じで。お忙しい方なので、「お疲れさま! じゃあね!」みたいな(笑)。 ――では、本当に初対面のような感じだったんですね。 中川:はい。ただ、お父様の水谷豊さんとは『相棒 season22』(テレビ朝日系)で今年共演させていただいていたので、初めてという感じがしなかったです。お会いしたときも、「お父さんから聞いたよ!」「『相棒』で一緒だったんでしょ? すごくいい子だったって言ってたよ!」と声をかけてもらって。 ――趣里さんと実際に共演してみていかがですか? 中川:とにかく優しいです。撮影の合間に、今年の3月に高校を卒業したばかりだという話をしたら、「サッカー部ではどんなことしてたの?」とか「なんの勉強が好きだった?」とか、ずっとニコニコ楽しそうに聞いてくれるので、ついつい話しすぎてしまいました。でも、撮影が始まると一瞬で表情を変えるんです。その切り替えの早さが、本当にすごいなと思いました。朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合)も拝見させていただいていたのですが、今回の役って、表と裏がある正反対なキャラクターだと思うんです。本当に、趣里さんは、どれだけの表情を持っているんだろうって。目の動かし方ひとつとっても、無駄なことはなくて、すべてに意味を持たせているのもすごいなと思います。 ――趣里さん以外とはほとんど作中で絡んだりはしていないですよね。 中川:今のところないですね。一緒にお芝居をしているのも趣里さんのみなので、他の方たちとは制発表作のときにご挨拶しました。今後はどうなんですかね。絡んでいくのか、いかないのか……。 ――現場には、ジェシーさんなど明るい方も多いですよね。 中川:ジェシーさんとはまだ共演シーンがないんですけど、メイク室ですれ違ったことがあって。すごく優しい方でした。僕が、京本大我さん主演の『お迎え渋谷くん』(カンテレ・フジテレビ系)に出演していたのを知ってくださっていて、第一声で「大我のやつ、出てたよね!」って。「僕のことまで知ってくださっているのか……!」と感動しました。ジェシーさんは裏表がなさそうなので、信頼できそうです。仲良くなれたらうれしいです。 ――城野とご自身の性格で、近い部分はありますか? 中川:人見知りというか、他人をなかなか信用できないところは似ているなと思います。たとえば、楽しくしゃべっていたとしても、裏で「こいつ、つまんない」とか思われていたらどうしようと思ったり、基本的にネガティブ思考なんです。ついつい、考えてしまうというか。 ――昔からそうなんですか? 中川:そうだと思います。7歳のころからお芝居を初めて、いろいろな現場でたくさんの大人たちを見てきたので。大人の方が、土台がしっかりしているからこそ、考え方がまっすぐだったりするんですよね。その点、同級生たちは思ったことをすぐに発言したり。「ギャップ、すごっ!」みたいな。 ――周りの同級生たちより、だいぶ先に大人になった感じですもんね。 中川:そうなんですよね。あとは、同世代の子たちでも同じ業界にいるなら、オーディションで戦う相手なので、仲間ではなくない?と思ったり。でも、同じ作品に参加するとなれば、仲間として仲良くしたりするじゃないですか。常日頃、会う人がライバルであり仲間でもある……。これはもう疑うしかないですよね(笑)。 ――今年3月に高校を卒業されてから、ドラマ出演が続いていますよね。心境の変化はあったりしましたか? 中川:今年は、自分は俳優1本でやっていくんだと決めた年でもあります。高校に通っていたときは、勉強が頭の半分くらいを占めていたので、仕事をしていても、学業が頭によぎる瞬間があって。 ――学業と仕事の両立、かなり大変だったと思います。 中川:そうなんです。でも、学生じゃなくなったことで、お芝居にまっすぐに向き合えるようになった気がします。だから、自分にとっては今年が俳優1年目なんです。学生時代は、事務所の先輩である中村倫也さんや松坂桃李さん、菅田将暉さんなどとお話しさせてもらっても、同じ世界にいるはずなのに、まったく違うなと思っていて。でも、最近はだんだんと理解できるようになってきました。大学に行く選択肢もあったんですけど、お芝居に専念して本気で向き合おうと決意した自分がいたからこそ、成長できたのかなと思っています。応援してくれる事務所の方にも感謝です。 ――今後はどんな俳優になっていきたいですか? 中川:『モンスター』もそうですが、最近はメッセージ性が強い作品が増えてきているなと僕の中では思っていて。なので、脚本家さんが伝えたいメッセージを、まっすぐに伝えられる芝居ができる俳優になりたいと思っています。
宮川翔