NEC、Z世代と共同開発した新ノートパソコンで異例の取り組み、YouTubeでリアリティーショー化した開発過程を公開
さらに特徴的なのが、独自開発の「シルクタッチコート」の採用だ。NECの調査では30代以下の63%が「パソコンの汚れが気になる」と回答。この課題に対し、ハンドクリームなどの油分も簡単に拭き取れる新素材を開発した。検証実験では、通常の表面処理では落ちない指紋汚れも、5回の拭き取りで完全に除去できることが確認されている。 このコーティングは本体だけでなく、タッチパネルやキーボード、タッチパッドにも施された。4年間の学生生活での使用を想定し、見た目の美しさと実用性を両立させている。
カラーバリエーションには「フェアリーパープル」を用意。パソコン売り場に並ぶ黒やシルバーの端末とは一線を画す。さらに、スマートフォンケースで知られるcaseplayとコラボレーションし、数百種類のデザインケースをオプションで用意。自分好みにカスタマイズできる。 キーボードにもZ世代向けのカスタマイズを施した。YouTubeへのクイックアクセスキーや、AIサポートの起動キー、身だしなみチェック用カメラの簡単起動キーなど、若年層の日常的な使用シーンを想定した専用キーを配置。従来のノートPCにあった飛行機モードなどのキーを省き、よりシンプルで実用的な配列を実現している。
美しさを追求しながら、性能面での妥協は避けた。その象徴が冷却設計だ。従来のような底面の通気口をなくし、代わりにキーボード面から吸気、デュアルファンで排熱する新方式を採用した。 ■徹底的なバッテリーへのこだわり LAVIE SOLの開発過程で最も白熱した議論が交わされたのが、バッテリー性能だ。大学生の1日の使用時間7時間を基準に、2日間の連続使用を想定した14.4時間駆動を実現。これは従来モデルから13%の性能向上を実現している。
しかし、単純な駆動時間の延長だけでは終わらない。使用パターンを学習するAI制御を搭載し、より賢いバッテリー管理を実現した。具体的には、PCを使わない時間は80%充電を維持し、使用開始3時間前から自動的に満充電に切り替える。 この機能は、実態調査から生まれた。NECの調査では、ノートPCユーザーの88%が「電源につなぎっぱなし」で使用し、バッテリー保護機能の利用は36%にとどまっていた。この課題を解決すべく、ユーザーの意識に依存しない自動制御を実現したのだ。