専修大北上が前半4発、5-0で岩手準決勝突破。堅守とテンポの良い攻撃で宿敵・遠野超えに挑戦
[10.27 選手権岩手県予選準決勝 盛岡誠桜高 0-5 専修大北上高 いわスタ] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 専大北上が5-0で決勝進出。第103回全国高校サッカー選手権岩手県予選準決勝が27日に行われ、専修大北上高が5-0で盛岡誠桜高に快勝した。専大北上は3年ぶり3回目の選手権出場をかけ、11月3日の決勝で遠野高と戦う。 専大北上は今夏の東北高校選手権準優勝校。今大会は東北新人戦8強の盛岡大附高、選手権日本一の歴史を持つ盛岡商高をいずれも3-0で下し、準決勝へ駒を進めてきた。この日の先発はGKが奥山隆晟(3年)で、右SB藤枝快成(3年)、CB成田大悟主将(3年)、CB伊藤晟来(3年)、左SB小野寺聖月(2年)の4バック。中村瑠希(2年)と吉池晃大(2年)がダブルボランチを組み、右SH平山太陽(2年)、左SH小原佑太(2年)、そして横山瑛大(3年)と山崎諒太(2年)が2トップに構えた。 一方の盛岡誠桜は2年前に初の県4強。今年は東北高校選手権で青森山田高(青森)を1-0で破って8強入りし、今回、選手権予選で再び準決勝まで勝ち上がってきた。この日はGK黒澤拓樹主将(3年)、DF島田倖汰(3年)、室岡琉斗(2年)、佐藤功乃介(2年)、MF三村琉珠(3年)、金田一幸星(2年)、吉田倖亜(3年)、佐藤颯(2年)、FW中村蒼(2年)、今野朝陽(2年)、柴内泰成(2年)で試合をスタート。前半3分には吉田の左FKから三村の放ったヘッドが枠を捉えた。 だが、この一撃を専大北上GK奥山がファインセーブ。盛岡誠桜は中村の縦への仕掛けとクロスなど立ち上がりは攻勢に出ていたが、専大北上がチャンスを確実に得点へ結びつけていく。 まずは6分、小野寺の右CKがニアへ入ると、混戦から藤枝が右足を振り抜く。これがファーサイドのネットを揺らし、先制点となった。さらに11分、右サイドの平山がDFと入れ替わって前進する。そこから攻撃を仕掛けると、平山が前線の横山へパスを入れ、こぼれ球に走り込む。これは盛岡誠桜が阻止。だが、PAで拾った小原がDFのタックルをかわし、左足シュートをゴール右へ決めた。 専大北上は17分にも藤枝の左ロングスローから山崎と横山が連続で決定的なシュート。これをGK黒澤の好守で阻止した盛岡誠桜はボールを繋いで押し返し、クロスやセットプレーで1点を目指す。 だが、小原昭弘監督が「前半、いい形でボランチがボールを受けて、さばいたり、縦のボール入ったりっていうところで、非常にいい展開で、いい得点までっていう感じでした」と評したように、専大北上は吉池と中村を軸としたテンポの良いパスワークで主導権。そして、ともにスキルの高い横山、山崎の2トップやスピードのある平山、小原の両SHが相手の間や裏のスペースを取ってゴールへ迫る。 そして24分、自陣からパスを6本、7本と繫ぐと、平山が右から中へドリブルし、相手DFの背中を取った山崎へラストパス。山崎が右足でゴールを破り、3-0とした。さらに27分、藤枝の右ロングスローのこぼれ球を成田が左足で決めて4点目。前半で大差をつけることに成功した。 盛岡誠桜は前半のうちにDF高橋太陽(2年)を前線へ投入。流れを変えようとする。だが、専大北上は後半3分、小野寺のパスから横山が左サイドを突破してPAへ侵入。ラストパスを山崎が右足で決め、5-0とした。 盛岡誠桜も右から仕掛けた今野の左足シュートが枠を捉えるが、これは専大北上GK奥山が反応。専大北上は盛岡誠桜の速攻やセットプレーでゴールに迫られるシーンがあったものの、CB成田が個の力で止め切り、184cmのCB伊藤が抜群の高さを発揮するなど得点を許さない。 小原監督が、「やっぱり今年はキーパーと2センター、この3人がほんとによく頑張ってくれて。攻撃もある程度タレントはいるんですけど、やっぱり後ろのヤツらがほんとに頑張ってくれて、こういう結果出てるかなと思います」と説明したように、安定した守備がチームの支え。この日は、攻撃陣も躍動して指揮官の予想を超えるゲーム展開になった。 盛岡誠桜は後半、FW横田一騎(2年)を皮切りにMF佐藤慈海(2年) 、MF浅沼亮太(1年)、FW伊藤楓太(2年)を投入。専大北上もFW千葉桐翔(3年)、MF東城巧磨(1年)、FW小豆嶋幸旭(3年)、FW鎌田星那(3年)、MF小森光稀(3年)をピッチへ送り出した。 盛岡誠桜は最終ラインへ落ちた三村が攻守で奮闘していたほか、全体的に球際の強度が向上。専大北上の攻撃に判断の遅れやミスが増えたこともあって、よく食らいついていた。一方の専大北上は流れの悪い中、1年生MF東城がテンポと精度の良いパスで攻撃にリズム。吉池の好パスから小豆嶋が左足を振り抜くなど貪欲に6点目を目指す。 だが、5-0のまま試合終了。直後にはピッチ上で指揮官から大味な展開になったこと、準備が足りないことを厳しく指摘されていた。決勝で対戦する遠野は2022年の県新人戦決勝で勝った後、公式戦で連敗の続いている相手だ。成田は「自分たちもほんとに遠野とやる最後のチャンスですし、自分たちにとっても最後の大会になりますし、自分たちももうほんとに勝つしかないっていう気持ちでトレーニングに臨んできましたし、そういう気持ちで決勝を迎えたいなと思っています」と力を込めた。 夏休み明けにはプリンスリーグ東北で4連敗。その後、2連勝と立て直して迎えた選手権予選でチームは成長した姿を見せている。課題の出た準決勝の後半から、チーム全体で引き締め直して決勝へ。そして、宿敵に勝利し、全国切符を掴み取る。