モノグサ、英単語の暗記をアプリで効率化 300校以上が採用 月刊Biz
ITスタートアップ(新興企業)のモノグサ(東京都千代田区)が開発した記憶を助ける学習アプリ「Monoxer(モノグサ)」が教育現場で注目を集めている。タブレット端末などを使い、利用者が出題される問題に答えると、その正誤情報を基に人工知能(AI)が記憶状況を分析。次に学習する際は利用者に合わせた問題が自動作成され、覚えていないところを集中的に取り組むといった効率的な学習ができるのが特徴で、すでに300校以上の私立学校や専門学校などに採用が広がっている。 【画像】学習時のイメージ画面。最も効率的に記憶できるよう複数パターンの問題を自動で作成し出題する 東京都世田谷区の閑静な住宅街にある成城学園初等学校。6月3日に同校を訪問すると、3年櫟(くぬぎ)組の児童約30人が英語の授業で、アプリを使った約10分間の「単語学習」に取り組んでいた。この日は曜日に関する英単語が出題され、児童は画面を見ながら、指やタッチペンでアルファベットを入力したり、和訳を選択肢の中から選んだりして解答していた。解答を終えると画面には「記憶済み」「記憶中」「弱点」といった記憶状況が円グラフで表示された。 ヒントをもらっての正解なら「記憶中」、ヒントをもらっても解答できない場合は「弱点」といった具合にAIが判断しており、自力で答えた「記憶済み」の比率が100%に達すると、その単元の記憶が定着したことになる。 解答傾向から独自の「忘却速度」も算出し、完全に忘れる前に記憶を定着させられるよう、利用者ごとにAIが選択肢を増やしたり、自由記述欄をつくったりと、習熟度に合わせて最適化した問題が作られるという。繰り返し解かせることで記憶を定着させる仕組みだ。 ■英検取得率が向上 同校はモノグサを使った単語学習を令和3年度から3年生以上を対象に導入した。卒業時に実用英語技能検定(英検)の4級(中学中級程度)取得を目標にしており、5年度の取得率は約75%と、4年度の約60%から上昇するなど学習の効果も出始めている。現在の6年生は3年次から4年間通して使っており、取得率がさらに上がることが期待されている。 同校で英語を担当する今井英雄教諭はモノグサについて「AIが記憶状況などを管理し可視化してくれるので、誰がどの程度後れをとっているか把握しやすい」と指導者の側にも大きなメリットがあると話す。テスト作成などの機能もあり、負担軽減にもつながっているという。