【漫画】人間を恨む“呪いの日本人形"、その標的は優しいおじいさんで…優しいホラー「夏の終わりに怖い話」に感動【作者に訊く】
猛烈な暑さの日が続く今年の夏。ウォーカープラスではそんな夏にぴったりな、ホラー漫画を特集。今回は、漫画家・櫻日和鮎実(さくらかわ あゆみ)さんの創作作品「夏の終わりに怖い話」を紹介する。 【漫画】「夏の終わりに怖い話」を読む ■呪殺をもくろむ日本人形と、人形を大切にする老人の奇妙な日々 作者の櫻日和鮎実さんは『吸血鬼伯爵は美少年メイドに踏まれたい』(コミックWACHA)や、「口裂け姐さん」(ガンガンコミックスpixiv)、SNS上で展開するお化けのキャラクター「おばちぇ」を手掛ける漫画家。「夏の終わりに怖い話」は、自身のSNS上に投稿した個人制作の短編作品だ。 物置の片隅に放置されていた日本人形を、家主の老人が見つけ出すところから物語ははじまる。実は日本人形には意思が宿っており、長年ほったらかしにされたことと、見た人から気味悪がられた恨みから人間を呪い殺そうとくわだてていたのだ。 手始めに、一晩で髪を伸ばし呪いの力を見せつけようとする日本人形。だが老人は「成長期の子供はさすがじゃのう」と予想外の反応で、伸びた髪を丁寧に整えていく。不器用ながら自分に尽くしてくれる老人の姿に、最初は呪うことばかり考えていた日本人形の態度も変化していって――、というストーリーだ。 作者の櫻日和鮎実さんによると、2017年ごろに制作した作品だという同作。作品を描いた舞台裏を取材した。 ■「愉快で愛せる生涯の隣人」オバケに対する優しい目線 ――本作はもともと、どんなきっかけで描かれた作品だったのでしょうか。 【櫻日和鮎実】日本人形はもともと子供を守るために作られたもので「怖いものではないんだよ」という気持ちと、「むやみに怖がらずかわいがって接していればちゃんと応えてくれるはずだよ」という気持ちで描いた作品です。説教臭くなく笑えるようにほっこりした絵柄を選んで描きました。 ――たびたび再掲されている作品ですが、そのたびに多くの反響が集まることに作品の魅力の不変性を感じます。 【櫻日和鮎実】純粋にとてもうれしいです。「この話好きなやつだ!」と覚えていてくださる読者さんも多く、コメントはすべてありがたく読ませていただいておりますし、たくさんの方がかわいい話だと思ってくれたらそのぶん思い入れが深まります。 ――本作だけでなく、「口裂け姐さん」や「おばちぇ」シリーズのように、怖いものを題材に優しい話、かわいらしい話に描いた作品が多いなと感じました。こうした作風で描く理由は? 【櫻日和鮎実】おばけって小さなころから何かとそばにいる存在だと思っています。「早く寝ないとおばけが来るよ」から始まり、学校の七不思議や肝試し、大人になっても怖い話はどこにでもあるものです。それは時として生活リズムを教えるために、危険なところへ行かせないために、悪いことをしないように。実は人間を守る影の存在としてとても大切で優しい存在なのではないかと感じました。なので愉快で愛せる生涯の隣人としておばけを描いていければと思っております。 ――ちなみに、ストレートに怖い話やホラー自体はお好きですか? 【櫻日和鮎実】ホラーは映画もゲームも好きです!特に怪奇現象の原因の掘り下げがあるとうれしいです。ちなみにジャンプスケアには毎回飛び跳ねるほど驚いています。作家としても、一度シンプルなホラーを描いてみたいと思っています。 ――最後に、読者に向けてメッセージがあればお願いします。 現在、XとInstagram上でオバケの子「おばちぇ」の漫画を更新しています。その「おばちぇ」ですが、コミュニティーフードホール大阪・日本橋で「おばちぇカフェin大阪」が7月29日まで開催中です。また、8月23日から9月1日までは、東京・渋谷のmagnet by SHIBUYA109 6階にて「おばちぇポップアップストア in 渋谷」も開催予定です。よろしければ足を運んでいただければうれしいです。 取材協力:櫻日和鮎実