トランプ新政権で仮想通貨はどうなる? いきなり「推進」に舵を切った理由
今、暗号資産(仮想通貨)が高騰している。 12月5日には、ビットコインが史上初めて10万ドル(約1500万円)を突破。さらに米起業家イーロン・マスク氏が激推しする「ドージコイン」の価格も2024年11月初めと比べて7倍の約65円に達するなど、おおむね上昇基調が続いている。 【画像】えげつない右肩上がり! 「ビットコイン」のチャート全期間を見る 価格上昇のきっかけの一つは、11月5日に行われた米大統領選でドナルド・トランプ前大統領が勝利したことだ。かつては仮想通貨に否定的だったトランプ氏だが、2025年1月20日には次期大統領に就任して、これまでになく仮想通貨の普及に乗り出す可能性がある。 そこで、第2次トランプ政権の仮想通貨との付き合い方はどんなものになるのか、そして、仮想通貨の立ち位置がどう変化していくのか考察してみたい。 トランプ氏は今回の大統領選挙まで、仮想通貨については積極的に発言してこなかった。その一方で、現在のバイデン政権はビットコインに批判的な報告書を公開するなど、仮想通貨を非常に懐疑的に見ていた。バイデン大統領は、中央集権的ではなくコントロールが難しい仮想通貨を毛嫌いしていたわけだ。
トランプ氏が仮想通貨を「使える」と判断した理由
ところが、バイデン大統領と大統領選を戦っていたトランプ氏は今年6月、フロリダ州でビットコイン関連企業の経営者や専門家らを集めて非公開の会談を実施。その会合で、トランプ氏はビットコインが大統領選のみならず、経済としても、個人の利益のためにも、使えるものであると説得されたと見られている。 トランプ氏はこの会合の後、すぐに自身の所有するSNS「Truth Social」に次のように投稿している。「ビットコインを毛嫌いするバイデンの姿勢は、中国やロシア、過激な共産主義左派を助長するだけだ。われわれは巷間(こうかん)に残るビットコインがすべて米国製になることを望んでいる!!! それは私たちがエネルギーで優位になるのに役立つだろう!!!」 この発言にある「米国製」というのは、ビットコインの通貨を採掘するマイニングを指していると思われる。マイニングには高度な計算を大量に行う施設と電力が必要になり、電力供給力が高ければそれだけ多く仮想通貨を生み出せることになる。 米国内では、電力不足や電力価格の高騰などが問題になっていることから、このままでは中国などに仮想通貨の所有量で負けてしまい、仮想通貨の未来に付いていけなくなると警鐘を鳴らした。トランプ氏が米国内で十分な電力供給を実現すれば、ビットコインはもうかる仕組みであると会談で耳にしたのだろう。 さらに別の遊説でも「もし仮想通貨が未来を決定するものであるなら、私は米国で採掘し、鋳造し、製造したい」と述べ、「みんなが『もう十分すぎるからお願いだからやめてくれ!』と言うくらい発電もするぞ!」と気を吐いている。