神戸港の発展支えた突堤が新たな観光拠点に…ホテルや水族館、1万人収容のアリーナも
「ミナト神戸」の発展を1世紀以上前から支えてきた港湾施設「突堤」が、観光拠点として生まれ変わろうとしている。物流拠点が沖合の人工島に移って以降は閑散としていたが、3方向を海に囲まれた独特の立地を「最高の眺望」と神戸市がPR。ホテルや水族館が進出し、来春には1万人収容のアリーナも完成する予定だ。(神戸総局 伊藤大輔) 【地図】突堤の開発が進む新港地区
「TOTTEI」
関西有数の繁華街・三宮(神戸市中央区)から南に約1キロ。新港地区は、倉庫群と海に突き出た4本の突堤で構成されている。西から2本目の「新港第2突堤」で今、地上7階建てのアリーナの建設工事が進み、かまぼこ形の巨大な建物が姿を現しつつある。
完成後はプロバスケットボール・Bリーグ「神戸ストークス」の本拠地となるほか、コンサートやイベントを開催。周囲は緑地公園として開放され、飲食や散策を楽しめる。「日本初、270度海に囲まれた水辺のアリーナ」が売り文句だ。
エリアの愛称を「TOTTEI(突堤)」と名付けた運営会社の渋谷順社長は「心地よい海風や水辺に映る夜景が楽しめる。365日、人が集まるエリアにしたい」と意気込む。
進まない再開発
新港地区で突堤の整備が始まったのは1900年代初め。23年の関東大震災で被災した横浜港の倉庫を神戸に移す動きもあり、突堤の周辺には倉庫が立ち並ぶようになった。その後も同地区を含む神戸港は貨物船への積み込みや荷降ろしの作業員でにぎわい、阪神間の高度経済成長を支えた。
70年代に入るとコンテナを使った海上輸送が増えて貨物船も大型化。物流拠点としての役割は、ポートアイランド、六甲アイランドなど神戸港の沖合に整備された広大な埋め立て地に移っていった。
同じ神戸港でもメリケンパークは「神戸ポートタワー」、ハーバーランドは商業施設「モザイク」や「神戸アンパンマンこどもミュージアム&モール」などを核に、観光・商業地化していった。しかし、新港地区は大型倉庫として引き続き活用されたため、再開発が進まなかった。