「新紙幣」発行1か月 世界に誇る「偽造防止技術」かいくぐれば“一発で実刑”の可能性も…財布に“紛れ込んだ”偽札を使ったら?
お札の“顔”が「明治時代以降の人物」から選ばれるワケ
今回、新たに紙幣の“顔”となったのは、1万円札が渋沢栄一(実業家)、5000円札が津田梅子(女子教育家)、1000円札が北里柴三郎(細菌学者)。これらの選定は、国立印刷局によれば法令などの制約はないものの、おおよそ以下のような観点により、明治時代以降の人物から選ばれているという。 ・偽造防止の観点から、なるべく精密な写真を入手できること ・肖像彫刻の観点からみて、品格のある紙幣にふさわしい肖像であること ・肖像の人物が国民各層に広く知られており、その業績が広く認められていること (国立印刷局「お札に関するよくあるご質問」より) なお、紙幣に肖像が描かれているのは、「人の顔や表情のわずかな違いにも気がつくという人間の目の特性を利用」するためだそうだ。 前述の偽造防止技術や肖像のほか、新紙幣では額面文字の大型化や、指で触って券種が識別できるマークなど、ユニバーサルデザインにも力が入れられている。 これら様式については、まず通貨行政を担当する財務省、発行元の日本銀行、製造元である国立印刷局の三者で協議される。その上で、最終的には日本銀行法により、財務大臣が決めているようだ。
物価上昇の中…国から事業者への補助金はなし
新紙幣発行の経済効果については、野村総合研究所の木内登英氏が「1兆6300億円程度」と試算している。無論、その背景には自販機や自動精算機などを導入している事業者の、新機種入れ替え対応などがあるだろう。 物価上昇や円安が続く中、経営が苦しい企業や店舗も少なくないはずだが、各事業者が新紙幣に対応するのは「義務」なのだろうか。桐ヶ谷弁護士は「法的な義務はないですが、対応しておかなければ事実上不便です」と話す。 「現在のところ、残念ながら国から事業者へ補助金を出すような制度はありません。ただし、自治体によっては補助金を支給しているところもあるようなので、使える制度はないか調べてみて、可能であれば早めに対策をしたほうがよいでしょう」