石破首相の演説中に帰る人も…“保守分裂”和歌山2区、二階氏vs世耕氏で見えた「二階王国」崩壊の兆し【写真あり】
10月27日投開票の衆院選。和歌山2区では引退する二階俊博元幹事長の三男伸康氏と、旧安倍派の幹部で自民党を離党した世耕弘成氏が激しい選挙戦を繰り広げている。だが、ここにきて「世耕氏有利」の情報が伝わってきている。 【写真】世耕氏が履く安倍元首相の“形見” 「派閥パーティー裏金事件で、二階俊博氏は2018年からの5年間で3526万円、世耕氏は同期間で1542万円の不記載が判明しました。二階氏は政界を引退したため処分されませんでしたが、世耕氏は離党勧告を受け、離党届を出しました。 和歌山は『二階王国』と呼ばれるほど盤石な地盤でした。一方、和歌山2区は世耕氏の祖父、弘一氏の出身地である新宮市が含まれます。世耕家とは縁が深い土地のため、二階氏にはやや不利と見られていました」(政治担当記者) 自民党支持者の間からは「保守分裂の同士討ち」という声も上がっていたが、二階氏の威光にも翳りが出てきたのだろうか。 「二階氏は、全『裏金議員』の中でも最多に上る3526万円の不記載のほか、二階派(志帥会)のパーティー券の売上超過分や支出など、5年間で3億8000万円あまりが政治資金収支報告書に不記載となっています。これにより、同会の元会計責任者が有罪判決を受けています。 さらに幹事長時代、政党が政治家に支出して、その使途を明かさなくてもいい『政策活動費』が5年間で50億円近く支出されて国会で問題になり、3年間で書籍を計約3470万円分購入して世間を呆れさせもしました。そうしたことも、支持者離れにつながり、伸康氏の苦戦につながっているのです」(地元有権者) 世耕氏は26年間の参院議員としての実績、内閣官房副長官、経産相、自民党参院幹事長などの経歴をアピールしているが、新人の伸康氏にはそういったものがない。代わりに訴えているのが父親譲りのインフラ整備だ。地元からは「旧態依然の選挙戦」と苦笑が漏れる。 さらに世耕氏は故・安倍晋三元首相の形見の靴を履いて支持者の前に立ち、21日には昭恵夫人が応援に入るなど「演出」に余念がない。 一方、伸康氏の演説にも石破茂首相、森山裕幹事長などが応援入りしているが、地元の盛り上がりはイマイチの様子だ。実際、20日の選挙戦を取材すると、かつて「二階王国」だったとは思えない光景が広がっていた。9時10分からスタートした二階氏の演説。30分ごろには、石破総理が応援に到着したが……。聴衆は多くいるように見えるが、正面位置にある聴衆エリア後方はガラガラの様子だ。 翻って世耕氏の演説には、60~70人ほどが駆けつけた。世耕氏の一言目は「新人・無所属の世耕弘成です」との自虐。聴衆全員と握手をして20分の演説を行った。 「石破総理の応援もむなしく、二階陣営はなかなか苦戦しているように見えましたよ。そもそも、石破総理の応援が逆効果なんじゃないかって思うくらいでしたね(笑)。石破総理の演説中に帰りだす人も見られましたし、特に応援になっていないんじゃないかと思いましたよ。 むしろ、離党したにもかかわらず、世耕氏の聴衆の方が熱が入っているように見えました。世耕氏の演説では、わざわざ彼の言葉を聞きに来た聴衆が多かったように思います」(現地記者) 評判通り、世耕氏優勢に見える。二階氏に焦りはあるのか。 「伸康氏は小選挙区では落選しても比例代表に重複立候補しているので、復活当選する可能性があります。そうすると、世耕氏の復党はないでしょうね。和歌山2区は、この先しばらくは『世耕・二階戦争』が繰り広げられることになりそうです」(政治担当記者) 同選挙区には共産党の楠本文郎氏、立憲民主党の新古祐子氏、諸派の高橋秀彰氏も立候補している。有権者はどのような審判を下すのだろうか。