中国工場を高度化へ EV拡大に照準 電子部品各社
電子部品各社が、中国工場の高度化を加速している。成長が期待される電気自動車(EV)や新エネルギー関連市場などに照準を合わせた生産増強を推進するとともに、高品質化や生産性向上のための自動化・省人化を一段と強化している。 【関連写真】SMK東莞工場のリモコン組立自動機 ニチコンは宿遷工場(江蘇省宿遷市)の導電性高分子アルミ固体電解コンデンサー、EV以外の電動車を含む「xEV」向けインバーター平滑用フィルムコンデンサーのグローバル供給能力を増強。xEV向けフィルムコンデンサーは、2025年度以降の需要拡大に備えて生産能力を倍増させている。 イリソ電子工業は、中国2番目の生産拠点として、「スマートファクトリー」をコンセプトに開設した南通工場(江蘇省南通市)で高度なモノづくりを展開。車載用のフレキシブル基板(FPC)コネクターなどを主に生産。24年からはZ可動フローティングコネクターも生産する。 SMKの東莞工場(広東省東莞市)は自動化・省力化の推進により、付加価値の高いモノづくりを展開。住宅設備用リモコンの生産自動化にも乗り出した。中国顧客向けでは、車載バッテリー用ワイヤー・ツー・ボードコネクターの量産体制が5月中に確立される見通しだ。 オータックスの深圳工場(広東省深圳市)でも自動化・省力化が進展。ビッグデータを活用し、ペーパーレスで生産工程を組める生産管理システムを自社開発するなど高度化を加速している。 帝国通信工業の淮安工場(江蘇省淮安市)は自動化・省人化で一人当たり生産性の改善に取り組んでいる。今年から日本の技術者の出張が本格化するため、生産ライン全体を見据えた省力化の取り組みを加速させる構えだ。 電子部品各社が生産の高度化に取り組むのは、現地ユーザーの調達部品に対する品質要求が一層高まっているのが背景にある。原材料費やインフラコストなどが上昇する中、現地進出の日系企業には、高品質な部品を効率的に製造するための高度なモノづくりが求められている。スマートファクトリー化と合わせ、生産性の飛躍的な改善が重要なテーマになっている。
電波新聞社 報道本部