猫もトレーニングできる?「もちろんできます」 オテする猫にハートを射抜かれて
トレーニングは猫も楽しい!
トレーニングをすることで猫も頭を使いますし、顔つきを見ると本当に真剣に学んでいるので、おそらく楽しんでいるのではないかと思います。心理学的にもどの動物もただご飯をもらって何も学ばない毎日より、学習して報酬としてご飯を得ることで心が豊かになることがわかっています。 「環境エンリッチメント(動物の住む環境を豊かにすることでストレスを減らす活動)」という取り組みが動物園などで行われていますが、わざと餌を隠して探させて頭を使わせたり、トレーニングをして頭を使わせたりすることが積極的に取り入れられています。そうすることで、動物も幸せになるし、ストレス解消にもなります。 また動物園では、「ハズバンドリートレーニング」といって、飼育員の方のお世話や医療スタッフによる健康診断が楽にできるように、同時に動物に麻酔をかけなくてもいいように、例えば歯磨きを受けいれるトレーニングをしたり、注射を打つ間おとなしくしているようなトレーニングをしています。動物は頭を使って、「芸」として動かずにいろいろ受け入れることを学び、人も楽にお世話ができて、だれもつらくない、一石二鳥の取り組みです。
ハウスのトレーニングをぜひ
家庭にいる猫さんも、仕事もなく、頭を使うことなくただご飯をもらっている毎日はあまり豊かではないので、ぜひトレーニングをして頭を使わせたり、工夫しないとご飯が食べられないようなおもちゃも与えたりして、豊かな毎日の環境を提供してあげていただきたいと思います。 猫に何を教えたいかは、何だってそれぞれが好きなことをできますが、私も行っている「ハウス」でキャリーに入るトレーニングは重要です。「ハウス」と言うことで猫がキャリーに入れるようになったら、いろいろ便利です。 「ハウス」の教え方 キャリーの中におやつを入れて、中のおやつを食べて出てくる、そんな行動を何度か遊びながらさせてみます。 キャリーの中におやつを入れる際に、「ハウス」といって、おやつを中に置くと、1番の練習ですでにキャリーに出入りする遊びをしているので、おそらくすぐにキャリーに入っていくと思います。 「ハウス」と言ってキャリーに入っていくようになったら、おやつを入れる前に「ハウス」といいます。猫がキャリーに入ったら、「いいこ」と言っておやつを与えます。 人がコマンド(号令)を出す場所を変えたり、立ち上がっている姿勢で「ハウス」と言ってハウスに入ったら「いいこ」と言っておやつを与えます。人の姿勢によって入ったり入らなかったりしないように、人はいろいろな姿勢や場所からの指示を出すけれど、「ハウス」という言葉が大事だと教えます。 繰り返すうちに「ハウス」というと猫が自ら急いでキャリーに入れるようになるので、あとはキャリーの中に長くとどまったり、キャリーのふたを閉める練習もしたりしていくと、ハウスに入って「待て」というだけで中にいられるようになります。キャリーにさっさと入れると、災害時の避難にも役に立ちます。 猫が「ハウス」にとどまる練習に関しては、東京農工大の私たちのチームで作っている「わんにゃん暮らしのアドバイス」というウェブサイトでも、2024年7月ころに動画付きで方法を紹介する予定です。