世界の海のプランクトン、80年間で4分の3に減少…温暖化原因「魚や人間にも影響及ぶ」
東北大などの国際研究チームは、世界の海に浮遊するプランクトンの個体数が、過去80年間で4分の3に減少したとする研究結果を明らかにした。地球温暖化で海水温が上昇した影響としている。今後さらに上昇すれば、状況はより悪化して他の生物への影響が懸念されるという。論文が、科学誌ネイチャーに掲載された。
プランクトンは大小の魚のえさになるため、生態系や食物連鎖に重要な役割を果たしている。チームは「浮遊性有孔虫」と呼ばれる、炭酸カルシウムの殻があり海表面近くを漂う動物プランクトンについて、世界各地で過去100年間に調査された約18万8000回分のデータを精査した。
その結果、熱帯から寒帯までの全地域で個体数は減少傾向で、全体では1940年代以降の80年間で約24%減少していた。生息域は海水温の低い地域へ年平均約10キロのペースで移動しており、水深の深い場所に移動する傾向も見られた。
チームの黒柳あずみ・同大准教授(古海洋生物学)は「温暖化がさらに進めば、熱帯域に生息するプランクトンの一部が絶滅するなどして多様性が失われ、魚や他の動物、人間にも影響が及ぶ」と警鐘を鳴らす。
海洋研究開発機構の木元克典主任研究員(生物海洋学)の話「憂慮すべき結果だ。有孔虫は殻を作る際に海水中から炭素を取り除く働きがあるが、個体数が減少することで取り除かれる炭素の量が減り、温暖化の加速につながる可能性もある」