次世代のニュースメディア 台湾の「TOMOニュース」に潜入
全身黒タイツの役者さんがさまざまな役を演じる
「コンテンツオフィス」が作った脚本を、今度は、「モデル」と呼ばれるチームが絵コンテを作り、同時に「モーションキャプチャー」のチームが、CGの元となる“芝居”を行い、CGニュースの元が完成します。これも、それぞれ30分ほどで仕上げなければなりません。「モーションキャプチャー」は、その名の通り、「動き(モーション)」を「キャプチャー(取り込む)」するところ。役者さんが演じるスタジオは、バスケットコートとほぼ同じくらいの広さ。あらゆる場所にカメラが設置され、また役者さんはセンサーが取りつけられた全身黒タイツ姿で撮影に挑みます。6カットを3~5人の役者さんですべて演じるので、一人二役などは、当たり前で子どもの役から大人の役まですべてこなします。
クオリティを担保する「アニメーション」チーム
そうして出来上がったものに、肉付けしていく作業が「アニメーション」の部隊。アニメーションで子どもを表現したいのであれば、役者さんのサイズを縮小させ、顔や体をつけて服を着させていきます。銃撃のあった事件なら、持っていた武器が拳銃なのか、機関銃なのか、そういった小道具も「アニメーション」が作り上げていきます。作業時間はここでも30分程度。とはいえ、ニュースのクオリティを担保する大事なポジションになるため、それぞれの持ち場のスタッフは、「アニメーション」担当に少しでも多くの時間を割いてもらえるよう、1分でも早くバトンを渡す努力をしているそうです。 次に、「音響効果」のチーム。「モーションキャプチャー」では、役者さんが迫真の演技をみせ、悲鳴や怒声など、リアルに演じますが、実は、その音はすべて消去され、この「音響効果」で新しい声、BGMなどが加えられていきます。
24時間ひっきりなしにニュース制作
最後に「編集」。ここでは、役者さんが”ダミーで持っていたもの”などが、リアルにアニメーションで再現されているか、を確認していきます。例えば、拳銃を持った警官がいたとすると、その手にしっかりと拳銃が握られているか、箱を両手で持ち上げたシーンだったら、ちゃんと両手と箱が接触しているか、「持ち上げているように見えるか」、「不自然さはないか」など、リアルに再現されているかを確認し、修正していきます。その作業が終わると完成になります。ここまでわずか2時間足らず。それぞれの持ち場を責任をもって進めていくことで成せる技です。 1本のニュースを作るのに、20人前後のスタッフが携わり、1日に作り上げるCGニュースの数は60本以上になります。それぞれの持ち場がシフト制になっていて、ほぼ24時間、ひっきりなしにニュース制作がつづけられています。