レーダー照射で続く平行線 韓国の対日姿勢の問題点
中国艇問題との決定的な違い
約6年前の2013年1月、東シナ海において、中国海軍のフリゲート艦が海上自衛隊の護衛艦に向けて、今回の事件と同様の火器管制レーダーを照射する事件が起こりました。その時、中国側はレーダーの使用は認めましたが、射撃管制用レーダーではなく監視(捜索)用レーダーであったと主張しました。今回の事件と同じ構図です。 その後の調査により、中国艇が使用したのは射撃管制レーダーであったことが明らかになりました。日本は抗議しましたが、日中両国政府は問題を拡大しないように努め、結果、事件は一時的な悶着で終わりました。こういった事案は中国との間では過去何回かありましたが、韓国との間では初めてです。ともかく、この種の事件は関係双方が冷静に対応することがまず求められます。 今回の事件は中国の艦艇の場合と異なる面があります。日本と韓国の間に直接の同盟関係はありませんが、ともに米国の同盟国として東アジアの安全保障に協力しています。このような状況にある日韓両国間で、敵対行為にも発展する危険のあるレーダー照射が行われたことは誠に遺憾です。もし、韓国の艦船が米国の艦船や航空機に対して同様の危険な行為を行ったらどのようなことになるか、想像するだけでも恐ろしいことです。抗議などでは済まず、その場で反撃されるだろうとも指摘されています。
韓国政府内の雰囲気に影響された?
もう一つの問題は、今回の事件は個人によって引き起こされた軽率な行為であったとしても、韓国内の対日感情を反映している可能性があることです。 さる今年10月、韓国海軍が済州島で国際観艦式を開催した際、わが海上自衛隊の艦艇には自衛艦旗である旭日旗を掲げないよう求めてきました。日本側は、そのような一方的な要求には従うことはできないとして艦艇派遣を見送りました。 それに対し、韓国海軍は「遺憾に思う」と表明しました。しかも李洛淵(イ・ナギョン)首相は韓国国会で、「植民地支配の痛みをまだ記憶している韓国人の心に旭日旗がどんな影響を与えるのか、日本も考慮する必要がある」と日本側に配慮を求めました。 また、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は慰安婦や徴用工の問題をめぐって日韓両国間で合意したことを無視することになるにもかかわらず、日本側の対応に問題があると言わんばかりの姿勢をとっており、レーダーの作業員はこのような韓国政府内の雰囲気に影響され軽率な行動に出た可能性があります。 韓国国防省としては、責任を認めれば処罰しなければならなくなりますが、韓国政府や世論にかんがみるとそれは何とか避けたいと判断し、今回の事件の首謀者をかばう発言をしているのではないかと思います。 だからと言って、日本としては韓国側に手心を加えるべきだというのではありません。今後、韓国側に危険な行為が起こらないようしかるべき対応を求めるのは当然です。