【ライブレポート】須田景凪×なとりが対バン、互いの楽曲をカバーし「雨とペトラ」でコラボも
須田景凪による自主企画ライブ「須田景凪 presents "MINGLE"」が、11月30日と12月1日に東京・ヒューリックホール東京で行われた。この記事では、なとりを迎えて開催された2日目公演「奇縁」の模様をレポートする。 【画像】なとり(撮影:タマイシンゴ)(他15件) 「MINGLE」は須田が初めて開催した自主企画ライブ。“交わる”を意味するタイトルを冠したこのライブに、須田は自身が敬愛するアーティストであるヒトリエとなとりを招き、リスペクトを込めたステージを繰り広げた。 ■ なとり「ぶっつぶす勢いでやります!」 2日目の前半アクトとして登場したなとりは、最初に「金木犀」を披露。アンニュイなボーカルとバンドメンバーの演奏で、独自の世界へ観客を引き込んだ。「遊ぼうぜ、東京!」というなとりの言葉に続いては「Sleepwalk」をパフォーマンス。ダンスチューン「DRESSING ROOM」やエモーショナルなギターが印象的な「EAT」といった新曲も披露し、豊かな表現力で観客を魅了した。 最初のMCでなとりは、今回のライブが自身にとって初の対バンライブであることに触れ「ちょっと緊張しているんですけど、今日は皆さんにとって最高の“フライデー・ナイト”にしましょう!」と紹介し、「フライデー・ナイト」のゆったりとしたサウンドへとつなげる。観客が心地よさそうに体を揺らしたあと、なとりは須田がボカロP・バルーンとして活動を始めた頃からの熱心なリスナーであったことを熱弁し、「高校時代は毎朝『teeter』を聴いていて……自分で音楽を作るようになってからも『これは“須田節”“バルーン節”が効いてんな』と思うことがあります(笑)。今日は対バンということで、須田さんをぶっつぶす勢いでやります!」とリスペクトに満ちた熱意を明かし、観客の大歓声を浴びた。 そんな思いを体現すべく、なとりは直後にバルーンの人気曲「メーベル」をカバーし、双方のファンを大喜びさせる。場内の熱気を高めたあと、なとりは2025年に行うZeppツアーの追加公演が決定したことを発表してファンのテンションをさらに引き上げた。「糸電話」の壮大なサウンドスケープを聴かせたあとは「IN_MY_HEAD」「絶対零度」とアッパーチューンを連投。最後は「Overdose」で熱狂のステージを締めくくった。 ■ 須田景凪「めちゃくちゃカッコいい友達」 「花に風」で自らのステージをスタートさせた須田は、先程なとりがカバーしたばかりの「メーベル」を2曲目に披露。貫禄すら感じさせるステージングで先輩らしさを存分に印象付ける。MCでは「なとり最高だったね。ヤツが『ぶっつぶす』と言ってましたけど(笑)、こちらもその勢いでやりたいと思います」と笑いながら対抗意識を見せた須田は「最高の夜にしましょう」と観客に呼びかけ、「レディーレ」の流麗なメロディを美しく丁寧に歌い上げた。 オーディエンスの力強い手拍子と合唱が後押しした「メロウ」や「パレイドリア」のあと、須田は「さっきなとりが『メーベル』やってくれてたね、カッコよかった。じゃあ俺もなとりの曲歌っていいですか? 俺はこの曲でなとりに出会いました」と話し、なとりも披露した「Overdose」をカバー。心地よいビートで観客を踊らせた。「『MINGLE』やってよかったわ」と初の自主企画への手応えを口にした須田は、自身の活動の原点となったボーカロイドカルチャーに対する思いを語り、「長くやってきて、その末になとりというめちゃくちゃカッコいい友達もできて、こんな素敵な夜も迎えられました」と、自らの歩んできた道のりを噛みしめるように振り返った。 その後、須田は前日30日の初日公演で初披露した新曲「WOLF」をパフォーマンス。この曲を通じ、音楽や先人たちに対する須田の情熱がオーディエンスにひしひしと伝わっていった。最後を飾ったのは大ヒット曲「シャルル」。軽やかなサウンドとボーカルで双方のファンを楽しませた。 ■ “最高の友達”同士で「雨とペトラ」コラボ アンコールで再びステージに現れた須田は「なとりと初めてしゃべったとき、彼が、彼自身の音楽のルーツの話をしてくれたんです。ずっとこいつは何者なんだろうと思うと同時に、不思議な親近感も感じていたんだけど、さっきも話していたようにネットカルチャーの音楽、そして俺の音楽もたくさん聴いてくれてたと知って。だから同じような美学を見ながら音楽をやっているんだな、とわかりました」と、なとりとの絆を明かす。そして「なとりが新曲を出すたびに嫉妬してるんですよ(笑)。俺も嫉妬されるような曲を作って、最高の友達でいたいです」とライバル心をのぞかせた。 ここでステージに呼び込まれたなとりは「『ぶっつぶす!』とか言ってすみませんでした……」と恐縮した表情を見せて観客の笑いを誘う。そんな中、須田となとりはアンコールのサプライズとして「雨とペトラ」をコラボでパフォーマンス。2人の力強いボーカルと、笑顔を交わしながら歌うその姿に、オーディエンスからは惜しみない大歓声と拍手が贈られた。 なとりを送り出したあと、須田は4月19日に東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)にてワンマンライブ「須田景凪 LIVE 2025 “花霞”」を開催することを発表。「たくさんの憧れの方々がライブをやってきた会場です。絶対いい夜にするんで来てください!」と意気込みをアピールし、ファンとの再会を誓ってステージをあとにした。 ■ セットリスト □ 「須田景凪 presents“MINGLE” DAY2 奇縁」2024年12月1日 ヒューリックホール東京 なとり 01. 金木犀 02. Sleepwalk 03. 猿芝居 04. DRESSING ROOM 05. EAT 06. フライデー・ナイト 07. メーベル(オリジナル:バルーン) 08. 糸電話 09. IN_MY_HEAD 10. 絶対零度 11. エウレカ 12. Overdose 須田景凪 01. 花に風 02. メーベル 03. ユートピア 04. レディーレ 05. メロウ 06. パレイドリア 07. Overdose(オリジナル:なとり) 08. ダーリン 09. ユーエンミー 10. WOLF 11. シャルル <アンコール> 12. 雨とペトラ feat. なとり