1カ月前に突然「閉鎖します」。全国で障害者が次々解雇のなぜ、カギは「A型」 5000人、過去最多を5カ月で突破
「そんなはずはない」。A型事業所の実態に詳しいコンサルタント会社「インサイト」の関原深(ふかし)社長はそう話す。 「自治体の担当職員は2~3年で交代するので、知識やノウハウにばらつきがある。事業者が巧妙に説明したら、突っ込めない」と関原さん。「だけど利用者は不利益を被っているので、本来は閉鎖を認める前にしっかり指導すべきだ。国は自治体向けに実践的な対応指針を作ったり、研修をしたりする必要がある」。そう指摘した。 閉鎖する事業所はもう増えないのか。関原さんは「10~11月ごろに『4月から半年続けてきたけど、やっぱり厳しい』となって、閉鎖の第2波が来るのではないか」と予想。調査に対し自治体の1割強は「さらに増えると思う」と答えた。 ▽取材後記 A型事業所を巡っては、利用者そっちのけで利益を優先する「あしきA型」と呼ばれる事業者の存在が指摘されてきた。今回の国の報酬引き下げは、問題のある事業者を退場させるという意味では一定、やむを得ないと思う。
ただ、そもそもそうした事業者の参入を許してしまったことが今回の事態を招いていることも指摘しておきたい。モラルの低い事業者と、チェック不在の行政。精神障害や知的障害で力の弱い利用者はその間で翻弄されている。 A型は「福祉と労働のいいとこ取り」とも言えるが、自治体の福祉行政と国の労働行政の縦割りは否めない。職員の人手不足もあって、指導やチェックは追い付いていないのが実情だ。今回のことで不利益を被った人がまっとうな仕事に就けるよう、関係機関が連携して支援してほしい。 ********** 障害者の雇用や就労支援に関する情報・ご意見がありましたら、お寄せください。 tkh.joho@kyodonews.jp