1カ月前に突然「閉鎖します」。全国で障害者が次々解雇のなぜ、カギは「A型」 5000人、過去最多を5カ月で突破
共同通信の調査では、今年3~7月に閉鎖したA型は全国で329カ所。地域別に見ると、元々A型が多くある大阪、愛知、岡山、北海道などで目立つ。 329カ所のうち4割強は、最低賃金が適用されないB型事業所に移行。この場合も利用者は原則解雇されるが、B型で働き続けることはできる。ただ、収入は減る可能性がある。そのほかの人たちは別の事業者のA型・B型に移るといった道があるが、行き先が見つかっていない人もいそうだ。 A型の運営事業者は今回の事態をどう受け止めているのか。 「報酬引き下げの影響は予想していたが、解雇や退職が約5千人というのは思ったよりかなり多い」。「就労継続支援A型事業所全国協議会」の久保寺一男理事長はそう話す。 報酬引き下げ自体については「問題のある事業者が一部いたのは確かで、仕方ない」と理解を示す一方、「もう少し緩やかなやり方でもよかった。私たちの間でも賛否両論がある」と複雑な顔を見せる。
「事業の収益で賃金を賄えていない事業所が報酬引き下げの対象になったわけだが、真面目に経営していても収支が厳しい場合がある」と久保寺さん。「例えば、障害が重い人を労働者として処遇しようと、頑張って受け入れているケースなどだ。まっとうな事業所も影響を受けていないか、国は検証して次回の報酬改定で考慮してほしい」。そう訴えた。 ▽自治体は「問題例なし」。そんなはずは… 閉鎖した事業所に対する行政の対応には、不満や疑問の声が上がる。ある障害者団体の役員はこう話す。「解雇にすると、運営事業者にとってはいろいろ不都合なので、利用者に自己都合の退職願を出させている例がある。そしてB型に転換し、ほかに選択肢はないかのような説明をして、利用者をB型に移す。利用者は弱い立場なので『仕方ない』と思ってしまう」 取材では、問題のある閉鎖事例がほかにも聞かれた。ところが、全国の自治体への調査では「問題例があった」と答えたところは一つもなかった。