尹大統領と与党の支持率いずれも政権発足後最低 党内で高まる危機感
【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と保守系与党「国民の力」の支持率がいずれも尹政権発足後の最低を更新したという世論調査の結果が相次いで発表され、党内で危機感が高まっている。 世論調査会社のリアルメーターが30日に発表した調査結果によると、23~27日に全国の18歳以上の2507人を対象に実施した調査で、尹大統領の支持率は25.8%だった。また、26~27日に全国の18歳以上の1003人を対象に実施した政党支持率の調査によると、国民の力の支持率は29.9%で、いずれも政権発足後の最低を更新した。 韓国ギャラップが全国の18歳以上の1002人を対象に10~12日に実施した調査でも尹大統領の支持率は20%、国民の力の支持率は28%でともに政権発足後の最低を更新。その後も微増にとどまった。 今年4月の総選挙での大敗と韓東勲(ハン・ドンフン)代表率いる新執行部の発足後も支持率が低調なのは、尹大統領夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏を巡る疑惑や、大学医学部の定員増を柱とする韓国の医療改革をめぐる政府と医師側の対立の長期化などが複合的に作用したという分析が出ている。 金氏については高級ブランドバッグを受け取った疑惑や輸入車ディーラー「ドイツ・モーターズ」の株価操作事件への関与疑惑、総選挙で候補者の公認に介入したとされる疑惑などが悪材料となっている。このような問題を執拗に取り上げるほど政治的に有利になると判断した野党は、これらの疑惑を政府から独立した特別検察官に捜査させる特別法や、国政監査での金氏の証人出席を推進している。 国民の力は、事実ではなかったり捜査中だったりする問題を野党が政争に悪用しているとの立場だが、党内ではこのような守りの姿勢では支持率の低迷を打開できないと憂慮する声が上がっている。 同党の金鍾赫(キム・ジョンヒョク)最高委員はSBSラジオの番組で、金氏が謝罪するなど一定のけじめをつけなければ今後も引きずることになり、悪影響を及ぼす恐れがあると述べた。 医療改革をめぐる政府と医師側の対立解消に向けた与野党と医療界、政府による協議体の立ち上げが遅々として進まないことも政府と与党の無能さを露呈したと映り、支持率に影響したとも分析される。 来年度の医学部定員増員と協議体への参加をめぐり政府と医師側が一歩も譲らぬ駆け引きを続ける中、仲裁に乗り出した与党と政府との間で生じた不協和音により、かえって対立が浮き彫りになったとの指摘も出ている。 党関係者は聯合ニュースの取材に対し、政府と与党の不和を解消しようとしているが、大統領室が動かない面があると主張した。 支持率の下落による党内の危機感は、半月後に迫った地方自治体首長の再・補欠選に対する不安へと拡大している。選挙が行われる4自治体のうち、釜山市金井区と仁川市江華郡では与党が強いが、支持率の下落が影響を及ぼす可能性がある。 首都圏の議員の1人は「保守が強い両地域でも政府と医師側の対立に対する憂慮が出ている状況」と説明した。
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