「スシローの北京1号店」いまも6時間待ち 担当者に聞いた、なぜこんなに人気なの?
デジローだけでなく、日本にはない「個室」
スシローが中国に進出を決めたのは、それ以前に出店していた香港での実績が大きい。香港の文化や食べ物の好みは中国の都市と似ており、同様に人気を獲得できるだろうと予想したという。 中国では、まず南部の広州に出店し、深セン、成都と本土を北上しながら店舗を拡大。そして、この8月に北京市内に1号店をオープン。同店は多くの若年層が訪れるショッピングモール「西単大悦城」の中に位置する。 「北京は伝統と現代が融合しており、世界中の食文化が集まっています。人々は料理の味だけでなく品質やスピード感も求めており、スシローが大切にしている“うまさ”や、効率的な店舗運営が受け入れられるだろうと考え、出店を決めました」 座席数は234席(テーブル6名席×36卓、2名席×8、1名席×2)で、日本にはない個室(6名用、10名用が各2部屋)も設置している。これは、大人数で食事をする文化があるためだという。 同店には、スシローが2023年9月より日本の一部店舗で導入している大型タッチディスプレイ「デジロー」も設置した。国際的なビジネスや観光の中心地である北京では、デジタルへの親和性が高いと予想されることに加え、現地の人々が求める効率的な運営を実現する目的もあるそうだ。
1号店は大反響、初日は12時間待ちも
1号店は、オープン前の段階で予約が1カ月先まで埋まっていたので、担当者は「ある程度の集客があるだろうと感じていた」という。オープンすると「待ってました」とばかりに人々が押し寄せ、初日は一時12時間待ちが発生するほどの反響に。なぜ、これほどの人気を得ているのか。 「海が近く多様な文化と接している天津や北京には、新しいものが受け入れられる土壌があります。そうした背景から日本食への興味・関心が高いことに加え、2024年5月に天津でスシローをオープンしたことから、その反響が北京へも事前に伝わっていたそうです。現地メディアでもスシローでの食体験が紹介され、それを見て来店されたお客さまからも好評のお声をいただき、反響が連鎖を呼ぶ形となりました」 一皿の価格は10元(約210円)、15元(約320円)、20元(約430円)、28元(約600円)の4種類で、そのうちの半分以上を10元で提供する。平均的な1食の価格は約100元(約2100円)で、現地の大衆レストランと同等だ。この価格帯に対する品質の良さは、評価されている大きな要素だという。 日本に旅行した際にスシローで食事をした人がファンになり、地元で開業した際に足を運ぶことも多いそうだ。寿司の楽しみ方は日本とさほど変わらず、家族や友人同士で訪れる人が多い。大とろ、中とろ、まぐろ、サーモン、赤えび、うなぎなどのネタは、日本同様に人気だという。 「デジローについても、新しいものに敏感な北京のお客さまに受け入れられていると感じます。高評価のポイントは、使い勝手、商品の鮮度感、明朗会計、アミューズメント性、衛生面などですね」