「サラリーマンを食い物に、スルガ銀行は真実を見るべき」被害弁護団長
シェアハウス投資は巧みに仕組まれた「罠」だったのか。スルガ銀行から多額の融資を受け、窮地に陥っているオーナー。被害弁護団の団長を務める弁護士の河合弘之氏は「日本経済を支える中堅サラリーマンを食い物にした事件」と憤りを露わにする。ダグラス・グラマン事件や平和相銀事件、国際航業事件など数々の経済事件を手掛けてきた河合氏。昨今は原発訴訟にも注力している。スマートデイズそしてスルガ銀行問題の本質はどこにあるのか聞いた。
メラメラと正義感に火がついた
── シェアハウスの問題に取り組むことになった経緯を教えてください。 河合弘之氏 僕は今、仕事の時間の8割くらいを原発訴訟や脱原発運動にさいているのですが、原発はまったくお金にならない、むしろ持ち出しですから、他にお金にならない事件はやらないと決めていたのです。けれど、たまたま(シェアハウスの)被害者の人が僕を訪ねてこられた。「何人もの弁護士に相談したが、ことごとく『無理だよ、破産するしかないね』というつれない返事ばかりで、一緒に戦おうという人は一人もいなかった」と言うのです。 話を聞くと、被害者たちはみんな日本の経済社会の中堅にいる、ちゃんとした会社で一生懸命働いてきたサラリーマンなんですね。そういう人たちが食い物にされていることがわかってきた。メラメラと正義感に火がついて「よし、やろう」と。お金にならない事件がまた増えちゃったのですけど。 ── 投資の失敗は自己責任と言う人もいますが……。 河合氏 当初は自己責任を言うメディアもありました。しかし、今は加害者と被害者の問題だということがはっきりしてきた。きちんとした情報が与えられて投資判断をして失敗をしたというのなら自己責任の問題だけれど、完全な詐欺的なシステムだったことがはっきりしてきたのです。安い土地を高く買わせ、安普請のシェアハウスを高額で建てさせ、入りもしない家賃を保証し、結局、家賃は払われず、ローンも払えなくなって破綻するという流れですが、その中にいろんな詐欺的な犯罪行為が含まれていたことがわかってきたのです。