クライマックスシリーズ 広島の下克上はあるのか?
広島の下克上はあるのか? 広島と巨人の対戦成績は、8勝14敗2分。そのデータを単純に信頼して巨人のファイナルステージの1勝を加算すれば、巨人有利との予想が鉄板だろう。しかし、直近の9月の成績に限って言えば5勝2敗で広島が逆に分がいい。巨人の原監督も「キラが入って広島の打線がつながり生まれ変わってしまった」と警戒心を深めていた。 評論家諸氏や関係者に話を聞いたが、総合力で見ると巨人が圧倒的に有利だが、勢いが勝敗を左右する短期決戦ならば広島にも十分下克上の可能性があるという見方が強い。
掛布雅之氏「1勝のハンディが壁に」
打撃アドバイザー就任を打診され26年ぶりの阪神復帰が話題になっている評論家の掛布雅之氏は、こんな意見だ。 「広島は非常にバランスのいいチームに仕上がっている。だが1勝のハンディは大きな壁になるだろう。中日が、昨年のファイナルステージで3連勝して王手をかけながらも結局、逆転負けをした。谷繁が『3つとるので、いっぱいいっぱいでした』と語っていたが、その後1勝が、絶対的な戦力差、組織力の差なのだ。その1勝は絶対的なエースがいれば解消できるが、昨年の中日には吉見が抜けていた。広島にはマエケンがいるが、阪神戦に投げているので、2試合に先発で使えないから苦しい。もし広島に可能性が出てくるとすれば1、2戦目に連勝することが条件。ひとつは、マエケンで勝つとして、もうひとつを総力戦でモノにすること。そうすれば勢いを味方に付けることができると思う」
巨人は試合カンを取り戻せるか?
これはクライマックスシリーズが導入されて以来、定説となっているものだが、試合間隔が空いてしまうチームは、どうしても試合カンが鈍る。巨人も、フェニックスリーグに選手を参加させて試合カンを埋めようと努力しているが、相手の出場選手は若手が中心。ピッチャーならば、鋭い変化球を落としておけば打たれないし、逆にピッチャーのレベルが違うので、打者が実戦カンを取り戻すまでにはいたらない。その影響が、必ず1、2戦には出てきて打線が、なかなかエンジン全開とはいかないのである。 広島のファイナルステージのローテーションは、大竹、マエケン、野村、バリントンの順番だと予想されている。1、2戦を任される大竹、マエケンが試合カンの鈍っている巨人打線を封じ込めば、それが下克上の序章となっても不思議ではない。